延岡のKDDI訴訟判決について声明文を発表 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・延岡のKDDI訴訟判決について声明文を発表

延岡KDDI訴訟判決の問題点を指摘し、電磁波問題の科学的かつ継続的な報道をお願いする声明文を発表しました。

国内外の59団体/個人が賛同してくださいました。


報道機関の皆様へ
http://homepage3.nifty.com/vocemf/Resources/0-18.pdf
延岡KDDI 基地局裁判の不当判決に関する声明
宮崎県延岡市では、2006 年にKDDI 携帯電話基地局が住宅地のアパートに設置されてから、頭痛や耳鳴り、不眠などの体調不良を訴える住民が現れ、時間がたつにつれて、その数は増え続けています。

2010 年に基地局から300m 以内の住民を対象に行なった健康調査では、162 人が何らかの症状を訴えています。
KDDI自身による測定でも、室内の中央部で4.428μW/㎠という高い値がでました。

基地局の電波を停止すると、数値は3 万2000 分の1 に下がることから、電磁波との関連性が強く疑われています。
基地局周辺に住む住民30 名は、同基地局の操業停止を求め2009 年に提訴しました。

ところが、10 月17 日に宮崎地裁延岡支部が出した判決は、住民の訴えを棄却するという信じがたい内容でした。
しかしながら、頭痛や耳鳴り、不眠、めまい、鼻血など共通した症状を、大
勢の住民が基地局稼働後に訴えていることは、この判決文でもはっきりと認められました。

携帯電話基地局に関する裁判で、健康被害が認められたのは日本ではこれが初めてで、その点では大きな意義があります。
一方で裁判官は、最新の科学的な知見を自らに都合よく解釈し、携帯電話基地局からの電磁波と健康被害の因果関係については「立証は不十分」という判断を下しました。

電磁波による健康被害への不安や、被告KDDIの対応への憤りなどから、もともとあった症状を強く自覚した可能性がある、というのが理由です。

有害な因子に曝されたと思うだけでも症状が生じる「ノセボ効果」の可能性があるとしたわけですが、ノセボ効果かどうか断定するには、医学的検査が必要です。
また、総務省の電波防護指針では、2GHz 帯について1000μW/㎠まで認められているので4.428μW/㎠でも基準値以内です。

電波防護指針は非電離放射線防護委員会(ICNIRP)などの国際ガイドラインに準じていますが、これは強い電磁波に短時間被曝して体温が上昇するような「熱効果」しか考慮していません。
現在の私たちは、長時間、微量な電磁波に慢性的に被曝する状況にありますが、そもそも、このような状況を想定して被曝限度値を設定してはいないのです。
しかも、体温が上昇しない弱いレベルでもDNA や免疫系、神経系、脳血流、ホルモン分泌などに影響が現れる「非熱効果」を指摘する研究が多数発表されています。
そこで、諸外国では限度値を厳しくする方向へ動いています。

たとえば、欧州評議会議員会議(PACE)は2011 年5 月、当面の目標として0.1μW/㎠、将来的には0.01μW/㎠に規制するよう加盟国政府に勧告しています。

さらにPACEは、電磁波過敏症発症者に配慮し、電磁波のないエリアをつくるなど特別の対策をとること、基地局を設置する際には地域住民や自治体などと協議して決めることも勧告しています。

基地局の規制、被曝基準値の厳格化、電磁波過敏症発症者の救済は世界的な動きです。
ちなみに、オーストリア医師会は今年3 月、電磁波による健康問題に関する診療の増加を受けて、診断ガイドラインを発表しています。

血液・尿検査の項目なども具体的に示し、被曝を避けるための具体的なアドバイスや、患者の被曝状況を把握するための問診票も作成しています。
近年では、携帯電話基地局周辺で延岡と同じように頭痛や耳鳴り、めまいなどを訴える住民が増えることを示す疫学調査が各国で発表されていますし、兵庫県川西市や沖縄県那覇市では、基地局が撤去されたことによって、住民の健康状態が著しく改善しています。
「電磁波による健康被害はノセボ効果の可能性がある」として健康被害との
因果関係を否定するのは、現実に目を背け、被害を拡大することにつながります。

日本は水俣病をはじめ、さまざまな公害を経験し、今も大勢の方が健康被害に苦しんでいます。

早期に予防的対策をとれば、被害を最小限に抑えられたのに、因果関係が認められないとして先送りしてきた結果です。

現在、原発事故による放射線の被害も発生しつつありますが、放射能と同じように電磁波もDNAを傷つけ、発がんの要因になります。

延岡の住民は9月29日に判決を不服として控訴しました。

世界中の基地局周辺で同じ健康被害を訴える人がいるという事実を踏まえ、客観的・科学的な立場で冷静に判断して、今後とも継続的に電磁波に関する問題を報道して下さるよう求めます。
2012 年10 月30 日
いのち環境ネットワーク代表 加藤やすこ