柳沢幸雄:化学物質過敏症4 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・化学物質過敏症のリスク評価
リスクを評価すると言っても、前述のように化学物質過敏症は我が国では社会的コンセンサスが得られていないので、発ガン物質の危険性に対する評価を参考にする。
発ガン物質の場合は、一生涯摂取し続けた場合に発ガンする確率が10万人に対して10人の場合には、その物質は安全とみなせないので直ちに対策を取る必要があるが、10万人に1人の場合には実質的に安全とみなしている。

最終的には10万人当たり0.1人になるように、社会的バランスを考慮しながら対策を進めているのが現状である。

埼玉県立学校の児童生徒の化学物質過敏症の発症率は、10万人当たり10人に近い発症率であるから、発ガン物質の危険性と比較した場合、直ちに対策を取る必要があるレベルであると言える。

しかも、発ガン率は一生涯摂取し続けた場合のリスクであるのに対して、これは未成年の児童生徒を対象にしたものであるから、直ちに対策を取ることの重要性は疑問の余地がないと言えよう。


環境問題とシックハウス問題
それでは、シックハウスの原因物質について見てみよう。
拡大するシックハウスの問題に対応するため、厚生労働省は2002年に室内の原因物質の濃度に関するガイドラインを発表した。(表1)

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前記「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会」の中間報告書からおもなものを抜粋したこれは、現在我々が持っている科学的知見から、生涯吸い続けても健康上問題ないと専門家が判断した汚染物質の濃度に対するガイドラインである。
手記を書いた少年の家では、環境科学研究所が測定したホルムアルデヒドの濃度は1ppmから1.17ppmとこの指針値の十数倍だった。
ホルムアルデヒドは、合板、パーティクルボード、壁紙用接着剤等に用いられる尿素系、メラミン系、フェノール系の合成樹脂や接着剤から発生する。トルエン、キシレンは接着剤や塗料の溶剤及び希釈剤から発生する。

また、パラジクロロベンゼンは衣類の防虫剤、トイレの芳香・消臭剤などから発生する。
建材としての合板や壁紙、あるいは防虫剤や芳香・消臭剤などはかなり以前から住宅内に存在しており、これらから発生する化学物質が室内空気を汚染していたのであるが、換気装置や建物の隙間からの自然換気によって希釈され、その濃度は現在問題になっているほどには高くならなかった。
それが快適な室内環境を作るために、また、住宅の省エネという地球環境対策のために高気密化され、換気量も少なくした。

その結果、室内空気の汚染物質濃度を高めることになってしまったのである。

快適な暮らしの追求、地球環境対策が逆に室内空気汚染をもたらしたわけである。