WHO ファクトシート299静的な電界および磁界3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・WHO の対応
WHO は、0 から300 ギガヘルツの周波数範囲の電磁界へのばく露によって提起された健康問題の評価に積極的に取り組んでいます。

国際がん研究機関(IARC)は2002 年に静的な電界および磁界の発がん性を評価しました。

そして、WHO の国際電磁界プロジェクトは最近、徹底的な健康リスク評価を実施し(環境保健クライテリア2006)、これによって知識の欠落している部分が確認されました。

この成果は、将来の健康リスク評価のために今後数年間に行うべき研研究アジェンダとしてまとめられました(www.who.int/emf )。

WHO は、科学文献から新たな証拠が利用可能となった場合には基準を見直すことを推奨しています。


各国の当局ができることは?
静磁界の利用によって莫大な便益が得られる(とりわけ医療において)のに対し、当然、静磁界ばく露による健康への有害な影響の可能性を評価する必要があります。

そうして初めて、真のリスクと便益が評価されることになります。

そのために必要な研究が完了するには数年を要します。

その間、各国当局は静磁界の有害な影響の可能性から公衆および作業者の両方を防護するためのプログラムを設けることをWHO は推奨します。

静電界の場合、主な影響は身体への放電による不快感であるため、強電界へのばく露とその回避方法に関する情報を提供すれば十分です。
静磁界の場合、現時点では、長期的影響または遅延性の影響に関する情報が十分な水準ではないので、作業者および公衆のばく露を制限するために、費用対効果を考慮したプレコーショナリ対策をとることは正当かも知れません。

当局が以下の対策を講じることをWHO は推奨します。
 科学に基づく、人体ばく露制限のための国際基準を採用すること。
 顕著なリスクをもたらす可能性がある静磁界から距離をとること、静磁界を封じ込めること、またはスタッフ教育プログラムのような管理的制御の適用することにより、静磁界の産業的および学術的な利用に対する防護対策を講じること。
 防護対策の実施を確実にするため、2 テスラを上回る磁界強度をもつ磁気共鳴画像法(MRI)装置について免許制度を検討すること。
 人々の安全に関して知識が大きく欠落している部分を埋めるための研究を助成すること。
 作業者および患者のばく露に関する健康情報を収集するため、MRI 装置およびデータベースを助成すること。


詳細資料
Environmental Health Criteria (2006), Static fields, Geneva: World Health Organization, Monograph, vol. 232
(WHO 環境保健クライテリア・モノグラフ第232 巻「静的電界および磁界」)
Effects of static magnetic fields relevant to human health (2005), Eds. D. Noble, A. McKinlay, M. Repacholi,
Progress in Biophysics and Molecular Biology, vol. 87, nos. 2-3, February-April, 171-372
(総説論文「人の健康に関する静磁界の影響」)
IARC Monographs on the evaluation of carcinogenic risks to humans (2002), Non-ionizing radiation, Part 1: Staticand extremely low frequency (ELF) electric and magnetic fields. Lyon: International Agency for Research onCancer, Monograph, vol. 80 (国際がん研究機関・ヒトに対する発がんリスクの評価に関するモノグラフ第80 巻「非電離放射線、第1 部:静的および超低周波の電界および磁界」)
(本文終わり)

(翻訳について)
Fact Sheet の日本語訳は、WHO から正式の承認を得て、電磁界情報センターの大久保千代次が英文
にできるだけ忠実に作成いたしました。文意は英文が優先されますので、日本語訳における不明な
箇所等につきましては英文でご確認下さい。(2011 年5 月)