電磁場の健康影響について考える2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・2. 電磁場の生体影響
電磁場の生体作用で明らかになっているものに、体内に誘導される電流および発熱がある。

また、生体への直接的な影響ではないが、フェンスやバスなどの金属体がアンテナとなりこれらからの電流により人が電撃を受ける作用もある。

これらの生体作用は周波数によって異なり、大雑把には図2のようになる。すなわち超低周波から100kHz までは誘導電流や電撃が、10MHz(M:メガ106)以上では発熱作用が主体となる。

100kHz から10MHzの間の周波数はどちらの作用が主になるか明らかでない。

ここで注意しなければならないのは、電磁場の曝露レベルである。誘導電流や発熱による生体作用が明らかとなる電磁場の曝露レベルは相当に高く、超低周波の磁場でmT(ミリテスラ)、マイクロ波の電力密度で数mW/ cm2 以上であり、工業用設備を除いて、一般の人が日常の生活環境で遭遇するレベルではない。


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・これまでに実験等により明らかとなっている具体的な生体作用について図3、図4に示す。

図4で示された生体作用で電力密度が数mT 以上のものは熱作用によるものと考えられている。

電磁場は電場と磁場からなり、高周波領域では電場あるいは磁場の一方がわかれば他方も評価できるが、低周波領域では、特に波源から近いところでは電場と磁場の強度は別々に評価しなければならない。

一般に超低周波領域では磁場の強さを生体影響の指標として用いることが多い。

これは変動する磁場により誘導電流が発生しこれが生体影響の原因と考えられていること、さらに磁場の測定は電場の測定に比べて容易であることが理由としてあげられる。

また、高周波領域では発熱作用が問題となるので、曝露の指標も電力密度(mW/ cm2)で示されることが多い。




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近年、電磁場による発ガンなどの慢性影響についての研究が多くなされている。

これは高圧送電線下住民における小児白血病の発生率が高く、電磁場が発癌因子になりうるかもしれないという1979 年の調査結果にはじまる。

その後、50Hz あるいは60Hz の超低周波電磁場の生体影響に関する疫学的調査が、一般住民あるいは労働者を対象になされてきた。
この電磁場曝露と発癌との関係については、陰陽ほぼ同数ずつの疫学調査結果があり、また実験的にこれを裏付ける研究結果も得られていないが、IARC(国際癌研究機関)は2001年6 月に、「超低周波磁場は小児白血病に関する疫学的結果に基づき、ヒトに対して発癌性の可能性がある2B と分類した。

子供と大人のその他の全ての癌に対する証拠、及びその他の曝露(静的電磁場と超低周波電場)については、科学的情報が不十分あるいは一貫性が無いことから分類できなかった。」と発表した。

わが国の国立環境研究所で行ってきた小児白血病に関する疫学調査でもIARC の分類を裏付けるような結果が得られている模様である(未発表)。(因みに、2B にはアセトアルデヒド、アクリロニトリル、カーボンブラック、四塩化炭素、クロロホルム、エチルベンゼン、ヒドラジン、無機鉛、マイトマイシンC、金属ニッケル、ニトロベンゼン、フェノバルビタール、フェノールフタレイン、トルエンジイソシアネート、ウレタン、コーヒー、ガソリン排ガス、野菜漬物(アジア)、大工・建具職人、ドライクリーニング作業者、超低周波磁場、などが含まれる。)ここで問題となっている磁場曝露のレベルは平均値で0.3~0.4μT(μ:マイクロ10-6)、小児白血病の相対危険度はおおよそ2である。この曝露レベルは誘導電流などを根拠に策定された国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)の指針値の数百分の一であるが、このICNIRP の指針値では瞬間的な曝露レベルを問題にしており、発癌作用を考えた疫学調査では一日の平均的な曝露レベルを指標にしている点に注意が必要である。
また、工業用設備からの漏洩磁場による曝露レベルは一般に高いが、工場内では化学物質等他の有害要因の健康影響に対する寄与がより大きいため、磁場と発癌などに関する疫学的研究はほとんどなされていない。