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電磁場の健康影響について考える
日本大学大学院理工学研究科医療・福祉工学専攻 城内 博
1. 電磁場とは
電磁場(電磁界も同義)は電場(電界)と磁場(磁界)が密接に絡み合ったもので、これらの関係はマックスウェルの電磁方程式によってあらわされる。ガンマ線、エックス線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、ラジオ/テレビ波、長波、超低周波など、電磁場もその周波数帯によっていろいろな呼び方があり(図1)、その生体影響も異なる。例えばエックス線のように波長が非常に短い電離放射線では電磁場のエネルギーが大きく、直接的に遺伝子に障害を起こしガンの原因となりうるが、波長100nm(n:ナノ10-9)(紫外線)以上の非電離放射線では遺伝子の障害を起こすほどのエネルギーはない。
空気中で電磁場が進む速度は光と同じ(3.0×108 m/sec)である。電磁場の波長あるいは周波数は([電磁場の速度]=[波長]×[周波数])の式から求める。
周波数が大きくなると波長は短くなり、周波数が小さければ波長は大きくなる。
例えば電子レンジで使用される電磁場は周波数2.45GHz(G:ギガ 109)、波長12.2cm で、送電線からの電磁場は周波数50Hz、波長6,000km である。
また、電波とは3,000GHz 以下の電磁波の総称である(電波法)。
電磁場には加熱溶解炉やドライヤーなど電気(電流)を使用する設備や機器から漏洩電磁場として発生する場合と、通信設備・機器のように電磁場そのものの使用を目的として発生させる場合がある。
現代社会では玩具、調理器、暖房器具から、医療機器、工業用設備、通信放送設備さらに兵器にいたるまで、ありとあらゆる分野の設備や機器から電磁場が発生している。
近年の情報社会の進展によりわれわれの生活は便利になっているが、電磁場環境はますます過密になり、電磁場が持つ生体影響について懸念する声も大きくなってきている。
以下、マイクロ波より波長の長い(>1mm)電磁場の生体作用および曝露レベルについて概説し、今後の電磁場対策の必要性について述べる。