・出展:いのち環境ネットワーク
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・問われる健康被害 携帯基地局訴訟(4)
2012年09月29日
インタビュー(4)
北里大名誉教授
宮田幹夫さん(76)
――これまでに診察した電磁波過敏症の患者数は
北里研究所病院時代と合わせると200人以上になる。2009年に東京都内で開院した専門外来には、全国から患者が来る。半分以上が女性で、50歳代の人が多いのが特徴だ。
――診断法は
問診が非常に大切で、症状や電磁波の発生源などを聞く。ほかの病気がないことを確認し、眼球の動きや平衡感覚、自律神経機能などを検査する。
――延岡訴訟の原告3人も08年に診察を受けている
3人もこうした診察の結果、「気のせいではなく、本当に体調が悪い」ということがわかった。症状は基地局ができてから始まったので、「電磁波による愁訴の可能性が高い」という所見書を書いた。
――なぜ電磁波過敏症になるのか
人の体の中では、脳の神経細胞が弱い電気信号で働くなど電気現象が起きている。自分も実験で確認しているが、電磁波はこうした人体に有害な働きをし、自律神経の失調や老化を進める活性酸素の増加を招く。ただ、人には適応力があるのですべての人に発症するわけではなく、感受性の高い人に現れる。
――基地局の電磁波も影響するのか
していると思うが、証拠を見つけるのが難しい。電磁波の強い場所にいる人の症状が重ければ、関連の証明になるが、電磁波の強さは時間や地形で違う。調査にはたくさんのお金もかかる。
――携帯電話の電磁波も健康に影響があるのか
めまいや頭痛などのほか、脳腫瘍(しゅ・よう)や精子の減少という報告がされている。私が一番怖いのは、精子数が減って、男性の生殖能力が落ちることだ。男性はポケットに携帯電話を入れるのはやめてほしい。
――子どもへの影響は
子どもの頭骸骨(ず・がい・こつ)は薄く、成長段階は感受性が高い。英国では政府機関が、子どもの携帯使用は必要な時に限り、短時間にするよう強く勧告している。しかし、日本では(CMなどで)子どもに使わせようとしている。
――電磁波と共生していくことはできないのか
便利なものを手放すことは無理なので、電磁波に強い住宅を造るとか、送電線を地下に潜らせるとか、体が浴びる電磁波を少なくする工夫が必要だ。携帯電話会社も技術開発を進めるべきだ。
=おわり(この企画は大畠正吾が担当しました)