ビスフェノールAに関するQ&A3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・Q6 諸外国では、ビスフェノールAについて、どのような対応がされているのですか。

 欧米諸国では、近年の研究で報告されている、極めて低用量のビスフェノールAで動物の胎児や子供に影響があるという新たな情報について、ヒトの健康に影響があるかどうか、評価が行われているところです。

詳細について関心のある方は、後述のウェブサイトを参照してください。具体的には概要は以下のとおりです。
 米国国家毒性プログラム(NTP)では、極めて低用量のビスフェノールAの動物曝露に関する限られた知見から、人の健康に対して影響があるかどうかを判断するためには、さらに調査や研究が必要としながらも、現在のビスフェノールAによる乳幼児等の推定最大曝露量が、これらの毒性試験で影響が認められた用量(2.4~10μg/kg体重)と近いレベルにあることから、乳幼児等の神経や行動等に影響を及ぼす懸念が幾分かあるのではないかとする報告書案がとりまとめられ、パブリックコメントを経て2008年(平成20年)6月11日、12日に開催された科学諮問委員会において、この報告書案は一部修正されて了承されました。
 これを受け、米国食品医薬品局(FDA)は「ビスフェノールAの曝露量について、健康への影響を及ぼすレベルを下回っていることを裏付ける多くの証拠があるが、新しい研究や知見が入手できれば引き続き検討を行う」ことを表明し、一般消費者に対して

「ビスフェノールAを含んだ製品の使用中止を勧めるものではありませんが、リスク評価は継続します。心配な人はポリカーボネート製のほ乳びんの代わりにガラス製のものがあることを知ってほしい。」との助言を与えています。
 続いて、2008年8月15日に、FDAは最近の研究や新しい情報の検討の結果として「食品に接触する用途に使用されるビスフェノールAの評価案」を発表しました。

これは、ラットやマウスについて数世代にわたり毒性を観察した研究から決定したビスフェノールAの無毒性量(5mg/kg体重/日)と比較すると、米国における現在のビスフェノールAの曝露状況からは乳児にも大人にも十分な安全域があること、また、懸念されている前立腺や神経・行動への影響について観察した動物実験の報告を検討したところ、この無毒性量を変更するほどの根拠は得られなかったことを内容とするものです。
 この評価案については、2008年9月16日の公聴会を経て、10月31日には、FDAへ外部の専門家による評価案の見直しの結果が提出され、低用量曝露の影響に関してさらなる調査、検討を進め、入手された知見について注意深く評価を行うこととされました。FDAは改めて評価を続行するとともに「現時点において米国、カナダ、欧州および日本の規制当局は食品包装を通じたビスフェノールAの現在の暴露レベルは乳幼児を含めた全人口へ直ちに健康リスクを生じるものではない、という立場で一致している」と声明しています。
 カナダ政府では、NTPと同様のリスク評価案を2008年4月に公表しましたが、乳幼児の現在のビスフェノールAの推定最大曝露量と毒性試験で影響が認められた用量との差が成人の場合に比べ十分に大きくないことから、低用量でのビスフェノールAの乳幼児(主に18ヶ月未満の)への影響を考慮し、予防的アプローチとして、ポリカーボネート製のほ乳びんの輸入及び販売等を禁止する方針であることを発表しました。

10月18日にはリスク評価の最終報告書とともにポリカーボネート製のほ乳びんの輸入及び販売等の禁止と乳児用の調製乳に使用されている缶の内面塗装からビスフェノールAの溶出を可能な限り減らす指針を策定する等のリスク管理案が公表されました。

リスク管理案のパブリックコメント後、管理案に基づく規制案が公表され、2009年(平成21年)9月までパブリックコメントが募集されました。
 また、ポリカーボネート製のほ乳びんを使用中の保護者に対しては、次のようなアドバイスを行っています(以下、一部を抜粋します)。

・ ポリカーボネート製の哺乳びんを使う場合には、熱湯を使うとビスフェノールAがより速く移行するので、熱湯を注ぎ込まないこと。

・ ポリカーボネート製のほ乳びんを使用することが心配ならば、他にも多くの材質のものが販売されていて、代替えが可能であること。

 欧州食品安全機関(EFSA)では、欧州委員会より、米国NTP及びカナダ政府のこれらの見解に対する最新の知見やデータを考慮した更なる評価について諮問を受けていましたが、2008年7月23日にその結果を発表しました。

その内容は、ヒトの場合は、母親が体内でビスフェノールAを急速に代謝し排泄するため胎児の曝露は無視できること、また、乳児も1mg/kg体重/日以下の用量ではビスフェノールAを同様に代謝、排泄できることから、2006年(平成18年)に設定した現行の耐容一日摂取量(0.05mg/kg体重/日)は、胎児や乳児を含む消費者に対して十分な安全域を確保している、というものです。
 なお、2009年10月15日には、欧州委員会よりEFSAに神経発達影響についての新たな動物実験に関する評価が諮問され、2010年(平成22年)5月に完了すべく評価中です。
 また、このような世界的な動向を受けて、国際機関である世界保健機構と国際連合食糧農業機関(WHO/FAO)により、ビスフェノールAの安全性評価のための臨時専門家会合の開催が、暫定的に2010年10月に予定されています。
米国食品医薬品局(FDA)のウェブサイト
 http://www.fda.gov/NewsEvents/PublicHealthFocus/ucm064437.htm
 http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/08/briefing/2008-4386b1-index.html
米国 国立環境健康科学研究所(NIEHS)のウェブサイト
 http://www.niehs.nih.gov/news/media/questions/sya-bpa.cfm
カナダ政府のウェブサイト
 http://www.chemicalsubstanceschimiques.gc.ca/challenge-defi/batch-lot-2/bisphenol-a/index-eng.php
 http://www.hc-sc.gc.ca/fn-an/securit/packag-emball/bpa/index-eng.php
欧州食品安全機関(EFSA)のウェブサイト
 http://www.efsa.europa.eu/en/ceftopics/topic/bisphenol.htm
世界保健機関(WHO)のウェブサイト
 http://www.who.int/foodsafety/chem/chemicals/bisphenol/en/index.html