筏(1998)による〔『環境ホルモン』6 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・ p-ノニルフェノールが細胞培養に影響することが見つかったのも偶然からである。

ボストンのタフト大学においてポリスチレン製試験管を用いて乳ガン細胞を培養していたとき、ポリスチレンにふくまれていたp-ノニルフェノールが溶出して細胞の異常増殖をひき起こしたのである。

研究者らは、エストロゲンを分泌する卵巣をメスのラットから摘出しておいてから、そのラットにポリスチレン溶出液を注射したところ、子宮内膜が増殖することを認めた。

そうなると、内膜増殖はp-ノニルフェノールによることになるが、この内膜増殖は、その後、子宮がその周囲組織と強く癒着する子宮内膜症をひき起こし、不妊症の一つの原因となる。
 ところで、こえまでにしばしばでてきた「エストロゲン」という物質は、女性ホルモンの総称である。

これについては第2章以降でくわしく説明するが、環境ホルモンといわれる化学物質の大部分は、このエストロゲンに似た作用を示すため、ヒトの体、とくに生殖系に多大な影響をおよぼすことが危惧されている。

ここでは、この点だけを心に留めておいてほしい。
 一方、アルキルフェノール・ポリエトキシレートとよばれる洗剤の魚への影響に関する英国の調査結果も紹介されている。

この洗剤は、水中のバクテリアの作用で分解してp-ノニルフェノールなどを生成し、それが水棲生物に有害な影響をおよぼす。

そのため、すでに1980年代に、ヨーロッパの一部で家庭用洗剤としての使用が禁止されている。

しかし、工業用洗剤としてはまだ用いられているそうである。