筏(1998)による〔『環境ホルモン』3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・●精子の減少
 これらの異常現象はヒトに関しても報告されている。

その一例はヒトの精子の数の減少と異常な精子の増加である。
 『奪われし未来』においては、まず、コペンハーゲン大学のスカッケベック教授らの1992年における調査結果が紹介されている。

それによると、精子の数の減少のみでなく、多くの男性に停留精巣や尿管萎縮も認められる。

ヒトの精子の平均数は1940年には精液1ミリリットルあたり1億1300万個であったのが、1990年にはわずか6600万個にまで落ちこんだ。

45パーセントの減少である。精液量は25パーセントの減少であった。
 スコットランドでの精子調査結果も紹介されている。それによると、1940年生まれの男性の精子の数は精液1ミリリットルあたり平均1億2800万個であったのが、1969年生まれでは7500万個にまで減少した。
 ベルギーにおける調査は、1990年から93年にかけての360人のデータと1977年から80年にかけてのデータを比較している。

それによると、正常な形態をした精子の割合は40パーセントから28パーセントに減少している。

また、まともに泳いだり動ける精子の割合は53パーセントから33パーセントに減少した。
 一方、フランスチームの研究結果も紹介されている。フランスチームは、コペンハーゲン大学による調査結果を信用できなかったため、独自の調査をおこなった。

そえによると、1945年生まれの男性の30歳のときの精子数は精液1ミリリットルあたり平均1億200万個であり、1962年生まれの男性の30歳のときの精子数は平均5100万個であった。

この調子でいくと、2005年に30歳になる1975年生まれの男性の精子数は精液1ミリリットルあたり約3200万個になるという。

これは、1925年生まれの男性の精子数の4分の1である。
 以上のように、各国とも精子の数が減少しているが、これは、ここ半世紀のあいだに激変した性行動や喫煙・飲酒の習慣によるものではないという。もしも、そのような後天的な原因によるものならば、若年層でみられた著しい精子減少が高年齢層でもみられるはずである。

原因は胎児のときの発育環境によるものだろうとコルボーンらは推測している。