・1.2 コルボーンらの警告
『Our Stolen Future』は『奪われし未来』という題で邦訳され、1997年に翔詠社から出版された。
原著は316ページであるが、邦訳書も約400ページの分厚い大作である。
この要約の一部はつぎの通りである。
●野生生物の異常
『奪われし未来』の中でもっともショッキングなのは、つぎからつぎへくり広げられる野生生物の信じられない異常生態である。
それらを箇条書きにして以下に列挙する。
フロリダのハクトウワシの生殖能の欠如
フロリダのアポプカ湖におけるアリゲーターのペニスの萎縮とアカミミガメの間性(オスでもメスでもない性)
フロリダヒョウの絶滅に近い激減とそのオスの停留精巣(精巣が陰嚢内に下降せず鼠径管内や骨盤腔内にとどまること)やメス化
ミシガン湖におけるミンクの激減と生殖異常
ミシガン湖やオンタリオ湖にけるセグロカモメの巣に異常に多い数の卵
南カリフォルニアのアメリカオオセグロカモメのメスどうしのつがい、つまりゲイのカモメ(米国ではメスどうしでもゲイ)
カリフォルニアカモメのオスのメス化
カナダのセントローレンス川におけるオスのベルーガ(シロクジラ)の体内精巣と精管以外に二つずつの子宮と卵巣の共存(真性の両性具有動物)
ヨーロッパと英国におけるカワウソの激減(ある地域では土着カワウソの絶滅)
英国のリー川のニジマスが雌雄の特徴を兼備(間性)
北ヨーロッパの海域におけるアザラシの大量死
地中海におけるイルカの大量死
西オーストラリアにおけるヒツジの不妊と死産仔ヒツジの激増
北極圏に棲息するホッキョクグマと南極大陸に棲むペンギンの体内からのPCBの検出
渡り鳥ミュビシギの減少
世界各地におけるカエルの減少
ザッとこんな具合である。
これらの異常は、酸欠、ウィルス、近親勾配、などの自然現象によるものではないという。
環境に人間がくわえた化学物質がその大きな原因らしい。