・4.2 長期・繰り返し被ばく
吸入
0.1%の有効塩化ベンザルコニウムを含むエーロゾルかしたヘアコンデショナーの吸入毒性研究はラットとハムスターで行われている。
12 匹のCD 系ラットと12 匹のゴールデンハムスターは14週間、週に5日、一日4時間、9.9 mgコンデショナー/立方メートルに曝された(9.9 mgは9.9μ g塩化ベンザルコニウム/立方メートルに相当)。
体重及び血液学的・生化学的データは記録され、肉眼的・組織病理学的検査が行われた。
塩化ベンザルコニウムコンデショナーの吸入に関連した変化は全て種のどれでも見られなかった(CFTA1979 - Anon. 1989からの引用)。
経口投与ラット
最も広く研究されたグループは塩化アルキルジメチルアンモニウム、特に塩化ベンザルコニウムである。
多くの長期間研究が行われているが、それらは全て非常に古いもので、現在の質の指針の要求を満たしていない。
オズボーン=メンデル系ラットは2 年間餌中で0.063、0.125,、0.25、0.5% の塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムを与えられた。
測定された特性パラメータは成長速度、餌摂取、死亡率、肉眼的及び顕微鏡的(少なくとも10 組織)が調べられた。
成長抑制は最低濃度(約63 mg/kg体重/日)でさえ起こった。
残りのパラメーターに関して毒性影響は0.25%レベルで見られた。
ほぼこのレベル(250 mg/kg 体重/日)で、病理変化は下痢や鼓腸、褐色のシロップ状の腸内物質、消化管内の集結性壊死の場所などが報告された。0.5%レベルで全てのラットは10週間以内に死んだ(Fitzhugh 1948 ? Cutler & Drobeck 1970 、BIBRA 1989からの引用)。
しかし、多数の動物(12/性)を用いた別の2年間研究で、0.015、0.031、0.062、0.125、0.25、0.5% の餌中塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムのレベルが調べられた。
この研究は餌中の0.125%(125 mg/kg 体重/日)で塩化アルキルベンジルアンモニウムは投与グループの成長や餌摂取、血液像、組織病理に影響を及ぼさなかった。
0.5%レベルで50%の動物のみが50日間生き延びた。
このレベルの病理学的所見はFitzhugh (1948)と一致し、その中で下痢及び上部消化管中の褐色の粘着性内容、急性胃炎が観察された(Alfredson1951 - Cutler & Drobeck 1970 からの引用)。
これらの長期間研究で塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムは餌に入れて投与された。
動物に投与された正確な量の計算に関する難点を取り除くために、チューブによるベンジルコニウム投与による研究が行われた。
ラットは担体として水や牛乳を用いて12 週間又は体重日が投50 100 mg/kkg / 与された。
50 mg/kg体重/日でこの化合物に良く耐えたが、担体として水を使った場合体重増加抑制は100 mg/kg体重./日で見られた。(Coulston1961 - Cutler & Drobeck 1970より引用)。
この研究で組織検査が行われたかどうか不明である。
ラットの研究で、2年間5、12.5、25 mg/kg体重/日の塩化ベンザルコニウム投与は最も多い量で体重減少を導き、胃粘膜の細胞増殖を増加させた(おそらく全投与レベルで)(Shelanski 1949 - quoted from Cutler & Drobeck 1970 and BIBRA 1989)。
CTAB(グループⅠ)は0.007、0.014、0.032%の飲料水中濃度で1 年間投与された。
これらの濃度はほぼ10、20、45 mg/kg体重/日を投与するために計算した。この化合物は少なくとも低い2投与レベルで良く耐えられた。
最も多い投与レベルで体重の現象及び腹側部の毛皮の湿り気と着色、相対肝臓重量減少、相対盲腸重量増加が見られた。
化合物に関連する出血や肉眼的病理的変化が見られ、処理群の胃や小腸壁で顕微鏡的変化は見られなかった。
他の組織は組織病理学的に調べられなかった(Isomaa 1976)。
イヌ
餌中で0.031、0.062、0.125、0.25、0.5、1.0%の塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムを2週間食べさせたイヌは0.125%(ほぼ30 mg/kg体重/日)が毒影響のないレベルであることを示した。
0.25%のレベルで体重と餌摂取の減少が見られた。
0.5 及び1%レベルを投与されたラットはシンだ。ラットの場合、病変は消化管に限られ、消化管粘膜の出血と壊死があった. (Alfredson 1951 - Cutler & Drobeck 1970より引用)。
別の研究でイヌ(6匹/量)はチューブによって12.5、25、50 mg/kg体重/日の塩化ベンザルコニウムを水又は牛乳を担体として52 週間投与された。
塩化ベンザルコニウムは10%溶液として投与された。
2 つ最も高いレベルでイヌに死亡が起こったが、水を担体として使った場合のみであった。
これらのレベルで見られた有毒影響(流涎、嘔吐、腸炎)は水に溶かした化合物を与えたイヌで最も強かった。
水を担体として使った場合、腸の鬱血と炎症が12.5 mg/kg体重/日を投与されたイヌにさえ見られた。
しかし、これらの観察は小さな変化と見なされる(Coulston 1961 - quoted from Anon. 1989)。
テンジクネズミ
20 匹のテンジクネズミのグループはチューブにより1 年間5、12.5、25 の塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムを投与された。明瞭な悪影響又は主な器官中の細胞変化は見られなかった(これ以上特定されていない)(Shelanski 1949 - quoted from Anon. 1989)。
上記の繰り返された毒性研究はグループⅠとⅡのQACs で行われた全ての研究ではないが、最も妥当なデータを含むと思われる。
先に述べていない残りの研究について、繰り返し報告された無毒(特定されていない)レベルは先に述べたレベルと同じ範囲(又はさらに高い)(Cutler & Drobeck 1970)。
皮膚投与
ラットへ3か月間週5回の10 mg/kg体重/日以上で塩化ベンザルコニウムの投与(おそらく覆っていない)は血液像変化及び肝臓と腎臓障害、ある種の器官重量の変化を起こした(Berezovskaya 1978 - BIBRA 1989からの引用)。
100 匹のスイス系雌マウス及び10 匹のニュージーランド系ウサギ(両性)に関する皮膚研究で、マウスとウサギの半分は8.5%塩化ベンザルコニウムで、残りの半分は17%で約80週間処理された。
100 匹のマウスと19 匹のウサギからなる未処理グループは対照として用いた。
溶液は毛を剃った背中の皮膚(マウス)又は耳(ウサギ)に週2回カバーなしで塗られた。最も投与レベルはマウスで85 mg/kg体重/日、ウサギで0.85 mg/kg体重/日にほぼ対応する。
安全な剖検が各動物で行われた。
皮膚サンプルと肺や肝臓腎臓の傷害は顕微鏡で調べられた。
塩化ベンザルコニウムは両投与レベルで塗布部位に潰瘍や炎症・瘢痕を起こした。生存に影響はなかった。
この研究は全身毒性がないことを示した(Stenb臘k1977).