・3.人間での毒性
数例の人間の死亡がQACs のためであるとされているが、一般にQACs の毒性は良く確立していない。
全化合物が毒物学的研究が行われたということからはほど遠く、特定の研究がQACs の毒物学的性質を特徴づけるために用いられた。
前に述べたようにQACsは4グループに分けられており( )、Merianos 1991 毒性は試験のために各グループから一つを選ぶことによって容易になるだろう。
現在のデータの主な部分はグループⅡに属する塩化ベンザルコニウム/塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムに関する研究を参照した。
文献中で一般名塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムは塩化ベンザルコニウムの一般名として用いられることが多い。
3.1 短期・単一回被ばく
QACs に関連する少なくとも10 人の死亡(9人の大人と1人の子供)が経口摂取および筋肉内や静脈内・子宮内点滴によって犠牲者の身体に入れられた10-15%の塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(C8-C18)液によって引き起こされたと医学的に記録されている(Gleason 1969、Merianos 1991から引用)。
吸入
塩化ベンザルコニウム(0.9%塩化ナトリウム中4 mg/ml、噴霧)を深く吸うと、喘息の人で気道収縮が起こる。
この影響のメカニズムははっきりしないが、アレルギー反応であると研究者は考えていない(Miszkiel 1988)。
経口摂取
100-400 mg/kg体重の塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(10-15%液)の経口摂取は5人で2-3 分から3 時間以内の急速な死亡を招いた。
粘膜の表層の壊死が消化管上部で見られ、腐食や潰瘍化、点状出血が小腸全体に見られた。
重度の変化が肝臓や腎臓/心臓に見られた。
即死の場合でさえ、これらの器官に傷害が見られた。
そのほかに声門と肺の浮腫が報告されている(Cutler & Drobeck 1970, Gosselin 1984)。
人間の中毒で麻痺は良く証明された現象でない。
しかし、クラレー様の麻痺が塩化ジメチルベンジルアンモニウム中毒をした3人で報告されている(Gosselin 1984)。
皮膚投与の皮膚刺激
様々なQACs に関する人間での試験から、今日まで研究された全化合物は同じ毒物学的性質を示すという一般的結論が得られた。
無傷の皮膚で刺激影響を起こさない最大濃度は0.1%であると結論が下されている。刺激は1-10%の範囲で現れるようになる。
0.1%より下の濃度は接触性皮膚炎又は皮膚が傷ついた人で起こる(Anon. 1989, BIBRA 1989, Cutler & Drobeck 1970, Merianos 1991)。
感作
局所粘膜への使用は感作を起こすと思QACs われる。
症例及びパッチテストに関する報告は塩化ベンザルコニウム(グループⅡ)、塩化セタルコニウム(グループⅡ)、セトリミド(グループⅠ)のような化合物が感作物質として働く可能性があることを示している(Anon. 1989, BIBRA 1989, Cronin 1980, Cutler & Drobeck 1970, Merianos 1991)。
しかし、一般にQACsが人間を感作する力は弱いことが示されている(Cronin 1980)。
複数の研究で皮膚科クリニックの患者が0.1%塩化ベンザルコニウムを使ってパッチテストをされた(標準的な国際手法により)。
この化合物は患者の約0.5-5.5%で皮膚感作を誘導できることが示された(Camarasa 1979 - quoted from Anon. 1989, Fuchs et al.1993,Perrenoud et al. 1994, Schnuch et al.1998)。
一般人と健康なボランティアで行われたパッチテスト研究で、0.1%塩化ベンザルコニウムに対する過敏性は検出されなかった(BIBRA 1989, Lovell 1992 ? Anon. 1989からの引用)。
QACs が本来持っている皮膚刺激作用のため、アレルギー反応と刺激性皮膚反応とを区別することは困難である
粘膜と眼
点眼した0.1%塩化ベンザルコニウムは灼熱及び刺すような反応を起こした。一般に、0.02%液は刺激作用がないと思われる。
2-3 の不愉快な反応はこの濃度で報告されているが、結膜充血のみが述べられ、角膜傷害は述べられていない。
0.01%はあらゆる傷害を与えない(BIBRA 1989, Anon. 1989)。
5-15 mg/kg 体重(10-15%液)の範囲の塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムの子宮内注入は死亡を招く(Gosselin 1984)。
筋肉内や血管内投与5-12 mg/kg/体重のアルキルジメチルベンジルアンモニウム(10-15%液)の筋肉注射又は静脈注射は死亡を起こす。
筋肉又は静脈、子宮内投与によって合計で5人の死亡が報告されている。静脈内注射を受けた人の3人は2-46時間以内に死亡した。
別の人は16日間生き延びた(Gosselin 1984)。
3.2 長期・繰り返し被ばく
吸入
人の農業者のグループ(呼吸症状ありお196 よび無しの)は肺機能およびヒスタミンに対する気管支の反応性によってQACs 被ばく(不特定の、被ばくレベルは示されていない)と呼吸障害との間の関係について評価された。ヒスタミン誘発後、統計的に優位な関連が弱い気管支反応性(喘息様症状を含む)の有病率と消毒薬としてQACs を使うこととの間に見られた。
この関連は呼吸症状のない人で更に強いと思われた(Vogelzang et al. 1997)。
経口摂取
データは見られない
皮膚適用
データは見られない
3.3 生殖・発達への影響
データは見られない
3.4 遺伝毒影響
データは見られない
3.5 発癌作用
データは見られない