・消化器への影響
ラットにピペロニルブトキシドを餌に0.5%と1%の割合で混ぜて2年間投与した所、盲腸に潰瘍が発生し、発生は用量依存性に増加したという報告がある (8)。
ラットに投与すると胃や盲腸での出血が起こったという (14)。
呼吸器への影響
ラットにピペロニルブトキシドを投与すると、肺胞の変性がおこったという (14)。
血液への影響
ピペロニルブトキシド投与によって白血球などへの影響が現れる。
2週間、雄ラットに2.5%ピペロニルブトキシドを含む餌を与えた。
体重増加の抑制と白血球数減少、リンパ組織中のT/Bリンパ球の減少・骨髄の形性不全・これらの組織中での増殖細胞核抗原*指数の減少が、ピペロニルブトキシド投与群で見られた。
胸腺中のTリンパ球の減少はピペロニルブトキシド投与群で強い。
これらのリンパ造血系の異常は食物摂取減少による栄養不良のためであると考えられている (9)。
ピペロニルブトキシドをラットに投与すると、本態性血小板血症を引き起こす (14)。
繁殖・発達・行動への影響
ピペロニルブトキシドは繁殖や発達・行動に影響を及ぼす。
3代に渡って投与を続けると、後の世代で行動影響が強く出ることも報告されている。
ピペロニルブトキシドを餌に0、0.15、0.30、0.60%の割合で混ぜて、親マウスの5週令(生後5週間)からその子ネズミの9週令まで投与した。
投与群で自発運動が減少した。
特に、歩行と立ち上がりが親の雄と、3週令の子供の雄で有意に減少した。投与群でマウスのこの体重は有意に減少した。授乳期にも体重は減少していた。
また嗅覚性方向反応*も対象と比較して有意に減少した。
このことは、この投与レベルで、ピペロニルブトキシドはマウスの繁殖や発達・行動に影響することを示す (16)。
妊娠ラット(妊娠11-12日)に、 0、630、1065、1800 mg/kgのピペロニルブトキシドを投与した。
妊娠11-20日で、動物の体重増加は1065と1800 mg/kg投与群で有意に低下した。
胎児の吸収率は1800 mg/k投与群で有意に増加し、この増加は投与量と関連があった。
平均胎児体重は 1065と1800 mg/kg投与群で有意に減少した (17)。
妊娠9日のマウスに、0、1065、1385、1800 mg/kgのピペロニルブトキシドを1回経口投与し、妊娠18日に検査をした。多量投与群で胎児死亡が増加し、用量依存性があった。胎児の雌雄の平均体重は用量依存性に有意に減少した(18)。
ラットにピペロニルブトキシドを5週令から孫の世代が離乳するまで連続して投与した。
ピペロニルブトキシドは餌に 0、0.1、0.2、0.4、0.8%の割合で混ぜて投与した。
多い投与量で一腹の子の大きさや子の重量が減少し、投与した各群で授乳期の子の体重が減少した。0.8%投与群で生後21日の生存率は各世代で減少した。
授乳期の子の発達や行動は、子の世代の嗅覚性方向反応をのぞいてほとんど対象と異ならなかった。
孫世代のマウスでは、立ち直り*や崖回避・嗅覚性方向反応は投与群で悪影響を受けた。
これらの結果はピペロニルブトキシドはラットで繁殖や発達・行動に悪影響を与え、次の世代では影響が増加することを示している。
催奇形性
ピペロニルブトキシドは指の奇形を生じる。
妊娠ラット(妊娠11-12日)に、 0、630、1065、1800 mg/kgのピペロニルブトキシドを投与した。
指の数の減少と指の癒合・指の数の増加が1065 と 1800 mg/kg投与群で有意に増加し、投与量に関連していた (17)。
マウスでも前足の指の数の減少を引き起こす。
妊娠9日のマウスに、0、1065、1385、1800 mg/kgのピペロニルブトキシドを1回経口投与し、妊娠18日に検査をした。
用量依存性に胎児の前足の指の数減少が起こった (18)。