・出展:環境汚染問題 私たちと子どもたちの未来のために
http://www.maroon.dti.ne.jp/bandaikw/
・共力剤 ピペロニルブトキシド
[ *がついている用語は、用語集参照]
共力剤は農薬の力を強めために農薬の中に入れられる。
特にピレトリンやピレスロイド製品の中に入れられることが多い。
一般に「安全」な化合物と信じられているが、毒性については未知な部分があり、発癌性もラットやマウスで証明されているので、被ばくはできる限り避けるが望ましい。
ピペロニルブトキシドは、一部の毒物分解をになっている重要な肝臓酵素を阻害する。
ネズミで肝臓のマイクロソームのオキシダーゼを阻害することが示されており、人間でも影響を与える。
簡単に、ピペロニルブトキシドの毒性について触れる。
肝臓への影響
ピペロニルブトキシドをラットやマウスに投与すると、肝臓重量の増加や肝細胞の肥大が認められる (2)。
雌雄のラットにピペロニルブトキシドを餌に 0、0.6、1.2、2.4%混ぜて13週間投与したところ、全投与群の雌雄のラットで肝臓腫大が見られ、用量依存性に肝臓の重量が増加した。
また肝細胞の壊死や、脂肪蓄積のある肥大した肝細胞が見られている。
この他に肝機能異常を示す血中蛋白や酵素・GTP*が上昇した。特殊な細胞増殖も見られた (5)。
ピペロニルブトキシドを0.6、1.2、2.4%の割合で含む餌を雄ラットに投与すると、肝臓重量の増加や肝障害を示す血清の検査値・特殊な細胞の増殖・胆管の過形性・単一細胞の壊死・腫大し空胞化した肝細胞・拡大した・核・不均一な核が見られた。
また細胞浸潤*や卵円形細胞*増殖・局所的壊死・多核の肝細胞・顕著な仁が投与ラットで見られた。
特に12週目に小肉芽腫が投与ラットが見られ、2.4%投与群では肝細胞の重度の肥大や核の重度の肥大、多核肝細胞が見られた。
これらは腫瘍発生前の変化を示している (6)。
腎臓への影響
雌雄のラットにピペロニルブトキシドを餌に 0、0.6、1.2、2.4%混ぜて13週間投与した。
投与群で腎臓重量が用量依存性に増加し、高投与量で腎臓の近位尿細管*の上皮の萎縮が見られた (5)。
ピペロニルブトキシドを0.6、1.2、2.4%の割合で含む餌を雄ラットに与えた場合、腎臓の相対的な重量と血清尿素窒素*レベルが投与群で増加し、近位尿細管の萎縮・尿細管の拡張・細胞浸潤*・線維形性・近位尿細管細胞内の黄褐色色素蓄積がみられた (6)。
0.9%のピペロニルブトキシドを含む餌の20日間投与により、マウスの血清コレステロールや全蛋白質・γ-GTPの値が上昇する 。
この場合、肝細胞の壊死や腫大・核の不揃いなどが見られている(7)。
甲状腺への影響あるいは甲状腺ホルモンへの影響
ピペロニルブトキシドをラットに投与すると甲状腺*濾(ろ)胞の肥大と過形性が見られた。
この変化は混合機能オキシダーゼ誘導と関連するという (2)。