ピレスロイドの発達中の神経系に対する影響4 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・母乳を経由した影響
ピレスロイド系殺虫剤シハロスリンを飲料水(0.02%)に溶かして母ラットに、出産時から授乳21日目の離乳まで投与した。

シハロスリンは母親の行動に変化を与えなかった。

被ばくした子供の体重は投与しなかったラットと差がなかった。

しかし、一部の行動学的試験で、成熟しても子のラットに影響が現れた。

ラットの母親の飲み水にシハロスリンを投与すると、子が成熟した90日後にも影響が残っていた。(11)


幼児期被ばくと過敏性
生涯を通じて、ほ乳類は環境毒物に被ばくしており、その一部は神経系に急性影響を与える。

少量被ばくが後の再被ばくと組み合わさった場合はほとんど研究されていない。

幼児期のバイオアレスリン被ばくと成熟時のバイオアレスリン被ばく
幼い時期にバイオアレスリンに被ばくした成熟マウスで、バイオアレスリンに被ばくすると感受性が増す。

生後10日のマウスにバイオアレスリンを経口投与した(0.7 mg/kg/日・7日間)。

生後5か月に同じ量のバイオアレスリンを経口投与した。

最後の投与7時間後に。自発運動活性検査を行ったところ、新生児期と大人の両方でバイオアレスリンに曝されたマウスで有意な異常が明らかになった。

ムスカリン性受容体*密度は有意に増加した。

その2か月後、7か月目には、自発行動障害とムスカリン性受容体の変化が持続しており、学習と記憶障害も現れた。

これらの結果は、バイオアレスリンの幼い時期の被ばくは成熟マウスの感受性を増加させる力がある。

この投与量では幼い時期に担体だけを与えた動物には影響がない。(12)


幼児期DDT投与が成熟期アレスリン投与に与える影響 
アレスリンを幼児期に投与すると、成熟したときに被ばくすると過敏に反応することが分かっているが、同じ様な毒性を持つ物質を幼児期に投与し、成熟した段階でどのように反応するかを調べた。

DDTとピレスロイドの両方はナトリウムイオンチャンネルに類似の影響を与え、神経の過剰興奮を起こすことが知られている。
生後10日のマウスに少量のDDT (0.5 mg/kg) を経口投与し、成熟した時に(5か月)に少量のバイオアレスリン (0.7 mg/kg) を1日1回、7日間経口投与した。(6)


行動の変化
投与しない動物と比較すると、DDTを投与した動物で行動に変化が見られた。(6)


受容体の変化
ムスカリン性受容体*の変化は新生児期にDDTを投与され、成熟した時にバイオアレスリンを投与された場合にのみ大脳皮質で有意な変化が見られた。(6)

この研究はDDTにすでに被ばくしている動物では、成熟したときに似たような神経毒物に再び被ばくすると、コリン作動性ムスカリン性受容体の感受性が高まっていることを示している。(6)
さらに永続的変化が積み重なる 、生後10日のマウスにDDTを経口投与した場合、似たような物質バイオアレスリンを生後5か月に投与すると、バイオアレスリンに対して過敏になることが示されたが、この変化が永続的かどうか調べた。

幼い時期のDDT投与と成熟期のバイオアレスリン投与の重なった影響は2か月後も残る
DDT (0.5 mg/kg) を生後10日に経口投与し、5か月にバイオアレスリン (0.7 mg/kg) を7日間投与し、生後7か月目に検査をした。
DDTを幼時に投与され、成熟してバイオアレスリンを投与された動物でムスカリン性コリン作動性受容体の変化及び行動変化と学習障害が見られたが、子共の時にDDTを与えず大人になってバイオアレスリンを投与されたマウスの行動障害は小さくかった。
幼児期のDDT被ばくは、同じ様な神経毒作用を持つ短期間働くピレスロイドに対する感受性を、成熟した動物で増加させる。

この影響は被ばく2か月後に行動障害とムスカリン性アセチルコリン受容体変化を不可逆的に導いた。(9)


一般化
環境的な不運は自然で起こっており、これは幼児期被ばくと後の成熟期の種々の有毒物質被ばくである。

新生児期に母乳や直接被ばくにより有毒物質に影響を受けることがある。多くのほ乳類で周産期は脳の急速な発達が特徴である。

脳の急激な発達中にDDTやバイオアレスリンに被ばくすると、大人になってからバイオアレスリンやパラオクソンに感受性が高められる。

新生児期と大人になってからの被ばくの組合せは、自発行動の異常とムスカリン性コリン作動性受容体の変化を起こし、学習と記憶障害を招く。私たちの研究は農薬への被ばくはたとえ少量であっても大人の被ばくに対する反応を強化あるいは修飾し、機能不全状態を加速する。(8)
これはDDTやピレスロイドに限らない。

生物の発達には正常な成熟のために決定的な時期がある。

周産期の間にそのような時期、「脳性長スパート」と呼ばれる時期である。哺乳動物脳の発達でこの時期は、胎児あるいは新生児の脳から成熟した脳に変える多数の生化学的変化を伴っている。
DDTやピレスロイド・有機燐・ニコチン・パラコート・PCBのような低レベルの環境汚染物質に、「脳成長スパート」の時期に被ばくすると、マウスで成熟した脳機能に不可逆的変化を招く。
成熟した動物での行動とコリン作動性障害の誘導は幼児期の生後10日付近の短い時期に限られており、成熟した動物に投与した場合、永続的影響は外見上ない。

幼い時期の被ばくは同じ様な神経毒作用を持つ物質に対する成熟動物の感受性を増加させ、それ以上の行動障害と学習障害も招く。(4)