・有症率
一般の人々におけるEHS の有症率の推定値は非常に幅広くばらついています。
ある産業医学センターの調査では、人口100 万人当たり数人と推定しました。
しかし、ある自助グループの調査では、それよりかなり高い推定値を導き出しました。
報告されたEHS 症例の約10%は重症と考えられています。
また、EHS の有症率や報告される症状にはかなりの地理的なばらつきもあります。
報告されたEHS の有症率は、英国、オーストリア、フランスよりもスウェーデン、ドイツ、デンマークで高くなっています。
欧州の他の国に比べ、スカンジナビア諸国ではVDU 関連症状の有症率が高く、皮膚症状に比較的多く関連しています。
EHS の人々が報告する症状に似た症状は一般の人々においてよく見られます。
EHS の人々に関する研究EHS の人々を、その人が自分の症状の原因と考えるものと同様の電磁界にばく露させる研究が多く行われました。
研究目的は、制御された実験条件下で症状を起こさせることでした。
EHS でない人々に比べ、EHS の人々はより正確に電磁界ばく露を検知できることはないことを大半の研究は示しています。
また、十分に制御され、ダブルブラインド法により実施された研究から、症状が電磁界ばく露と相関しないことが示されました。
一部の EHS の人々が体験する症状は、電磁界とは無関係の環境因子により起きている可能性が指摘されています。
例えば、蛍光灯の「ちらつき」、VDUs の眩しさや他の視覚的問題、人間工学的な配慮を欠いたコンピュータ作業場所の設計などが考えられます。
その他に関与するかも知れない要因として、屋内空気質の悪さおよび職場や生活環境でのストレスがあります。
これらの症状は、電磁界ばく露そのものではなく、以前から存在する精神医学的状態、および電磁界の健康影響を恐れる結果としてのストレス反応によるものかも知れないという示唆もあります。
結論
EHS は、人によって異なる多様な非特異的症状が特徴です。
それぞれの症状は確かに現実のものですが、それらの重症度はまちまちです。
EHS は、その原因が何であれ、影響を受けている人にとっては日常生活に支障をきたす問題となり得ます。
EHS には明確な診断基準がなく、EHSの症状を電磁界ばく露と結び付ける科学的根拠はありません。
その上、EHS は医学的診断でもなければ、単一の医学的問題を表しているかどうかも不明です。
臨床医: 影響を受けている人の治療は、職場や家庭の電磁界の低減や除去を求める認知上の要求ではなく、健康症状と臨床像に主眼を置くべきです。
そのために以下のことが必要です。
症状の原因かも知れない特定の身体状態を同定・治療するための医学的評価。
症状のもうひとつの原因かも知れない精神医学的/心理学的状態を同定するための心
理学的評価。
表れている症状に関係するかも知れない要因に関する職場および家庭の評価。
これらには、室内空気汚染、過剰な騒音、不十分な照明(光のちらつき)または人間工学的要因などが含まれるでしょう。
職場でのストレスの低減やその他の改善を図ることは妥当でありましょう。
長く続く症状および重い障害があるEHS の人々に対しての治療は、第一に症状および機能的障害の軽減に向けられるべきです。
医療専門家(症状の医学・心理学的側面に対処する)と衛生学専門家(患者に関連する健康影響を起こすことが既知の環境要因を同定し、必要であればそれを制御する)は密接に協力しながら行うのがよいでしょう。
治療の目標を、実効のある医師-患者関係の確立、状況克服の方策を立てる手助け、職場復帰と通常の社会生活を送れるよう患者を励ますことにおくべきです。
EHS の人々: 専門家による治療とは別に、自助グループはEHS の人々にとって有益な手段になります。
政府: 政府は、電磁界の健康影響の可能性に関する情報を、EHS の人々、医療専門家、雇用主に向けて、バランスよく、適切に提供すべきです。
このような情報の中には、EHS と電磁界ばく露との結びつきに関する科学的根拠は現在、存在しないという明確な声明を含めるべきです。
研究者: いくつかの研究は、EHS の人々における一定の生理学的反応が正常範囲を逸脱する傾向があることを示しています。
特に、中枢神経系の過剰反応および自律神経系の失調は臨床検査によって追跡し、その結果を治療のための情報として用いる必要があります。
WHO はどのような活動をしているのか?
WHO は、国際電磁界プロジェクトを通じ、電磁界ばく露に伴う健康リスクについて理解を深めるために、研究ニーズを明確化すると共に国際的な電磁界研究プログラムを調整しています。
特に、低いレベルの電磁界による健康影響の可能性に重点を置いています。
国際電磁界プロジェクトや電磁界の影響についての情報は一連のファクトシートで、複数の言語にて提供しています。 (www.who.int/emf/ ).
runより:以前他の物を掲載しましたがWHOは電磁波過敏症を否定してはいません。
ただ確証する事が出来ないので認めきれないんです。
このファクトシートは今日見つけた物ですがこの前書いた私見と共通する部分があります、やはり化学物質は避けたほうが良いと思います。