DDVP(ジクロルボス)論文6 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・酸化ストレス
有機リンはコリンエステラーゼの阻害剤として知られている。

これ以外に赤血球内で脂質の過酸化を起こし、スーパーオキシドジムターゼやカタラーゼのレベルを増加させ、酸化ストレスを与える。
Cankayali et al. (2005)は有機リン中毒で抗酸化剤N-アセチルシステイン

の効果を調べた。

人工呼吸下で,ラットに70 mg/kg のDDVP を腹腔内注射し、0.9%塩化ナトリウムまたはN-アセチルシステインを静注した。

スーパーオキシドジムターゼやマロンジアルデヒド**レベルは食塩水注射をした動物で有意に増加したが、N-アセチルシスティンを注射した群では対照と有意な差はなかった。

これらのことは、有機リン化合物が赤血球の過酸化反応防衛メカニズムを妨害し、N-アセチルシステインは有機リン中毒治療に役立つ可能性があることを示す。
* N-アセチルシスティン:N-acetylcycteine。一般的なサプリメントであり、抗酸化剤のグルタチオンに代謝される。

HIV 患者で欠乏が報告されているが、通常は不足することはない。
**マロンジアルデヒド:脂質酸化により生じ、脂質過酸化の指標である
Celik and Suzek (2009)はラットで、脂質過酸化の指標となるマロンジアルデヒド量や、還元型グルタチオンとグルタチオン還元酵素、スーパーオキシドジムターゼ、グルタチオン-S-転位酵素などの抗酸化防御系に対するDDVP の影響を調べた。

マロンジアルデヒドは肺を除く調査した全組織で増加した。抗酸化防御系活性は全組織で増加した。

グルタチオンレダクターゼ活性は赤血球や脾臓、肺を除く全組織で減少したが、還元グルタチオンは肝臓と心臓で減少した。

これらのことはDDVP が脂質過酸化の指標であるマロンジアルデヒドを増加させ、抗酸化系を変化させることを示す。

脂質代謝への影響
DDVP が脂質代謝に影響を及ぼすという(Kozlowska 1988)。Luci ć et al. (2002)はブチルコリンエステラーゼ(血清コリンエステラーゼ)活性と脂質やリポタンパクの代謝とに対するDDVPの影響をラットで調べた。

DDVP 投与により血漿中のブチルコリンエステラーゼ活性が低下し、トリグリセリドと全コレステロールが増加する。

HDL コレステロールが増加し、LDL コレステロールは減少する。

これらの結果はブチルコリンエステラーゼが脂質やリポプロテインと関連があることを示す。