・水生生物に対する影響
● 工業的な形や製剤の両方で、トリクロルホンは、ミジンコやカワゲラ・カニ・数種類の淡水魚種に非常に有毒である[1]。
● LC50は、ミジンコで0.18 mg/L (48時間)、カワゲラで0.01 mg/L、ニジマスで1.4 mg/L、カワマスで2.5 mg/L、ナマズの一種で0.88 mg/L、ブルーギルで0.26 mg/Lである[1]。
● 野外での毒性は、温度やpH、水の硬度など多くの要因に影響され、それは種によって異なる影響がある[1]。
一部の種で、10℃の温度差は、96時間LC50値で7-60倍の差を生じる。pH6.5からpH 8.5への変化の影響は、いくつかの種類で13-20倍の変化を生じた[1]。一般に、温度が高く、pHが高いと、毒性は増加する(即ち、観察されるLC50は低下する)。
●トリクロルホンが魚に濃縮する可能性はない[1]。
ほかの生物への影響
● トリクロルフォンはある種の益虫や非標的昆虫に中から強い急性毒性を持つ。
この農薬はそのほかの野生動物にも有毒であろう[1]。
● ハチに対してトリクロルフォンは毒性が低く、最小限の害でミツバチの周囲で使うことができる[1]。
環境中での運命
土と地下水中での分解
● トリクロルフォンは、好気的土壌中で急速に分解あるいは劣化し、半減期は3-27日である。平均10日の半減期が報告されている[1]。
● 主な分解産物はジクロルボス(DDVP)である[1]。
● 様々な構成及び有機物含量の土壌中で、トリクロルフォンは土壌環境中で残留性が低い。
トリクロルフォンは土壌粒子に強く吸着されず、水に容易に溶け、非常に移動する。
土壌の有機物含量は、土壌中のトリクロルフォン移動に影響するようには見えない[1]。
水中での分解
● トリクロルフォンはアルカリ性(pH 8.5)の池の水中で急速に分解する。散布したトリクロルフォンの約99%が2時間以内に分解した。
酸性(pH 5.0)条件に保った、同じ池の水中で、2時間安定であった。
水中のトリクロルフォンの主要分解産物はジクロルボス(DDVP)である。
この殺虫剤は20℃の水中で、526日に渡って検出できる濃度で残っていた[1]。
植物中での分解
● 森林環境中のトリクロルフォン消失に関する研究は、葉や落葉中に残留しないことを示している。
おおよその残留期間は、植物で7-10日である。リンゴの葉やカーネーション・ヒャクニチソウで薬害が報告されている[1]。