慢性頭痛の診療ガイドライン | 化学物質過敏症 runのブログ

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・A-8 慢性頭痛の診療ガイドライン
編集: 日本頭痛学会医学書院、2006年2月15日第1版第1刷

■下記の漢方治療全体 (A8-1漢方薬)
疾患:
慢性頭痛
CPG中のStrength of Recommendation:
(漢方薬全体として) B: 行うよう勧められる
有効性に関する記載ないしその要約:
『漢方薬は予防薬あるいは急性期治療薬として長期にわたり使用されており、経験的あるいは伝統的には効果・安全性の両面から有用であると評価されている。これを裏付ける科学的エビデンスも近年集積されつつあり、予防薬として推奨可能である。』
漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン 2010
日本東洋医学会 EBM 特別委員会 エビデンスレポート/診療ガイドライン・タスクフォース

■A8-2呉茱萸湯
疾患:
慢性頭痛
引用など:
前田浩治, 宮城敦, 菅原武仁. 慢性頭痛に対する呉茱萸湯の効果. 漢方医学 1998; 22: 53-7.
CPG中のStrength of Evidence:
Ⅱb: 1個のコホート研究 (質の低いランダム化比較試験を含む; たとえば追跡率80%未満のもの)

■A8-3呉茱萸湯
疾患:
緊張型頭痛
引用など:
赤嶺真理子, 兵頭靖博, 芦原睦, ほか. 緊張型頭痛に対する呉茱萸湯の有用性. 日本東洋心身医学研究 2000; 15: 36-8.
CPG中のStrength of Evidence:
Ⅲ: 均質な症例対象研究による系統的レビューあるいは1個の症例対象研究

■A8-4呉茱萸湯
疾患:
慢性頭痛
引用など:
関久友, 沖田直, 高瀬貞夫, ほか. 慢性頭痛に対する呉茱萸湯の効果-封筒法による桂枝人参湯との比較-. Pharma Medica 1993; 11: 288-91.
EKAT 構造化抄録[PDF]
CPG中のStrength of Evidence:
Ⅰb: 信頼区間の狭い1個のランダム化比較試験
<以上A8-2~A8-4の記載として> 有効性に関する記載ないしその要約:
『症例集積研究が2件と漢方薬同士のランダム化比較試験が1件である。いずれもエビデンスレベルは低いが、呉茱萸湯の高い有用性が示されている。
北里研究所等で研究段階漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン2010日本東洋医学会 EBM 特別委員会 エビデンスレポート/診療ガイドライン・タスクフォースのレスポンダー限定多施設無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験ではレスポンダーに対する有用性が認められた。漢方薬の特性にかなったデザインによる研究で有用性が示されたことは価値があると考えられるが、レスポンダーの選定基準等、問題もある。』

■A8-5桂枝人参湯
疾患:
慢性頭痛
引用など:
松本博之, 柏木基, 松谷学, ほか. 慢性頭痛に対する桂枝人参湯と釣藤散の有用性に関する研究. 臨床と研究 1995; 72: 1299-303. MOL, MOL-Lib
CPG中のStrength of Evidence:
Ⅰb: 信頼区間の狭い1個のランダム化比較試験
有効性に関する記載ないしその要約:
『漢方薬同士のランダム化比較試験が1件と漢方薬同士の非ランダム化クロスオーバー比較試験が1件である。前者は漢方薬同士であるため漢方薬の有用性を示すエビデンスとしてはレベルが低いが、頭痛改善に対する高い効果が示されている。後者はデザインに問題があり、漢方薬同士であるためエビデンスレベルは低い。さらに評価方法も問題である。』


■A8-6釣藤散
疾患:
慢性頭痛
引用など:
松本博之, 柏木基, 松谷学, ほか. 慢性頭痛に対する桂枝人参湯と釣藤散の有用性に関する研究. 臨床と研究 1995; 72: 1299-303. MOL, MOL-Lib
CPG中のStrength of Evidence:
Ⅰb: 信頼区間の狭い1個のランダム化比較試験

■A8-7釣藤散
疾患:
脳血管障害患者の慢性頭痛
引用など:
木村格, 笹生俊一. 脳血管障害患者の慢性頭痛に対するツムラ釣藤散の臨床効果. Geriatic Medicine 1989; 27: 445-9. 3
漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン 2010
日本東洋医学会 EBM 特別委員会 エビデンスレポート/診療ガイドライン・タスクフォース
CPG中のStrength of Evidence:
Ⅱb: 1個のコホート研究 (質の低いランダム化比較試験を含む; たとえば追跡率80%未満のもの)

■A8-8釣藤散
疾患:
慢性緊張型頭痛
引用など:
高田理. 慢性緊張型頭痛に対する釣藤散の有効性について. 漢方医学 1998; 22: 121-4.
CPG中のStrength of Evidence:
Ⅱb: 1個のコホート研究 (質の低いランダム化比較試験を含む; たとえば追跡率80%未満のもの)
<以上A8-6~A8-8の記載として> 有効性に関する記載ないしその要約:
『漢方薬同士の非ランダム化クロスオーバー比較試験が1件と症例集積研究が2件である。前者については② 【桂枝人参湯】で述べた。後者についてもエビデンスレベルは低いが、釣藤散の有用性は示されている。』

■A8-9葛根湯
疾患:
慢性緊張型頭痛
引用など:
山本光利. 肩頸部のこりに起因する慢性緊張型頭痛に対する葛根湯の臨床効果. 臨床と研究 1995; 72: 2085-8. MOL, MOL-Lib
CPG中のStrength of Evidence:
Ⅱb: 1個のコホート研究 (質の低いランダム化比較試験を含む; たとえば追跡率80%未満のもの)
有効性に関する記載ないしその要約:
『エビデンスレベルの低い症例集積研究1件だけであり、効果も明確でない。』
漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン 2010
日本東洋医学会 EBM 特別委員会 エビデンスレポート/診療ガイドライン・タスクフォース

■A8-10呉茱萸湯
疾患:
慢性頭痛
引用など:
花輪壽彦, ほか. 慢性頭痛に対する呉茱萸湯の効果: レスポンダー限定多施設無作為化ニ重盲検プラセボ対照比較試験 (トライアル段階)
CPG中のStrength of Evidence:
Ⅰb: 信頼区間の狭い1個のランダム化比較試験
有効性に関する記載ないしその要約:
『これまで頭痛に対する漢方薬の効果についてのエビデンスは少ない。漢方薬が有用であることは経験的・伝統的にはほぼ疑いがないので、花輪らの研究のようにさらなるエビデンスの集積が必要である。その際、漢方薬の特性を生かした臨床研究デザインが使用されるべきである。』
<以上A8-2~A8-10の記載として>
備考:
文献評価は冊子体の方には記載されていない。日本頭痛学会ホームページ掲載の「慢性頭痛の診療ガイドライン」から、参考論文のAbstract Formにリンクがはられており、文献評価が記載されている。
http://www.jhsnet.org/GUIDELINE/1/AF/1-15_af.htm

■A8-11漢方薬
疾患:
片頭痛の予防
CPG中のStrength of Recommendation:
急性期の片頭痛予防療法として他の薬物とともに漢方薬がグレードA (行うことを強く推奨) で推奨されているが、引用論文や推奨根拠の記載はない。