・日本の勧告
2003年6月に厚生労働省は「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品・毒性合同部会」の「魚介類に含まれる水銀に関する安全確保についての審議結果」に基づいて、不十分ながら魚摂取に対する勧告をした。
この中で、妊婦等への指導等をするように、関係部局に通知した。その内容は、「望ましい」目安として、1 食に60-80 g 摂取するとして、次の通りである。
・ バンドウイルカ;2 か月に1回以下
・ ツチクジラ、コビレゴンドウ、マッコウクジラ、サメ:週に1回以下
・ メカジキ、キンメダイ:週に2回以下
これに対して、水産関連業界の反発は強い。
特に、キンメダイ漁業への打撃が各種報道で伝えられている。
しかし、この件に関しては、なぜもっと早く規制あるいは勧告をしないのかという疑問があり、またマグロ類の規制も必要であるだろう。
参考
薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品・毒性合同部会(平成15年6月3日開催)の検討結果概要等について 厚生労働省報道発表 2003.6.3
必要なこと
人為的に放出している水銀の量は、自然に発生する水銀量と同じかあるいはやや多いと推定されています。
人為的な水銀発生源は水銀を使用する工場や廃棄物焼却炉です。
ここでは触れませんでしたが、工場や焼却炉から放出される無機水銀にも強い毒性があります。
水銀はいずれは河川に流入し、海に流れ込みます。
水の中や土壌中で細菌などにより、水銀はメチル水銀などの有機水銀に変えられます。
それをプランクトンなどが濃縮し、食物連鎖を通っていくたびに濃縮され、マグロなどでは高い濃度のメチル水銀が検出されています。
金属は分解されることがありません。
必要なことは、環境中への水銀の投入をしないことです。
廃棄物の安易な焼却や最終処分は環境への投入量を増やします。
自己防衛をしながら、水銀使用量の削減を進めて行く必要があります。
電池や蛍光灯を購入しようと考えているとき、少し立ち止まって考えてください。
かわりになるものはあります。
水銀やカドミウム・マンガンを環境中に放出するのを減らすため、充電式のニッケル水素電池等の使用も可能です。
最後にアメリカの一般廃棄物中では、特に電池が水銀発生源となっていることがわかっています。
参考文献
1. U.S. EPA, MERCURY STUDY REPORT TO CONGRESS (1997).
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最終更新 2005.1.6
更新 2003.3.20 渡部和男
runより:秦の始皇帝が不老長寿の薬と言われて飲んで死んだ事は有名ですね。
大型の魚に水銀が多いとは知ってましたがツナ缶すら危ないとは考えもしなかったですね。
クジラ、サメ、マグロ、カジキは色んな形で食卓に上がっています。