鉛:神経系への猛毒物質2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・鉛被曝と知能指数低下
 
 1993年、アメリカ小児科アカデミーは、鉛が子どもの精神能力を低下させることを示した多くの研究を調べ直し、鉛レベルと知能指数の低下は「並はずれて一貫している」と述べました。

「多くの研究では血中鉛レベル10μg/dL増加する毎に、子どもの知能指数が4~7ポイントずつ低下する」。

このことは大きな低下のようには思われないでしょうが、平均知能指数が5ポイント低下すれば、正常な知能の境界線である知能指数80以下の人数が50%増えることになります。

このような特殊教育を提供する必要がある人数が増えるのは、第一に子どもたちの不幸ですが、同時に、社会的・経済的損失につながります。
 
 最近、多くの研究で、鉛は知的能力を減少させるだけではなく、聴覚障害や手-目共同運動機能低下、注意を払う能力の障害、暴力傾向を生じることなども明らかになっています。

鉛中毒の子どもはストレスを上手に扱えず、暴力を爆発させる傾向が強いと報告されています。
 
胎児期被ばくの影響
 
小児期の鉛被ばくの影響は良く報告されているが、メキシコの国立周産期研究所*のシュナースら Schnaas et al. (2005) の研究グループは出生前の鉛被ばくによる子供の知能発達低下を報告している。
 
出生前の鉛被ばくの影響はあまり調べられていない。

シュナースらは出生前鉛被ばくは生後被ばくよりも強力で持続する子供の発達への影響があるだろうと考え研究をした。

被験者らの妊娠中の血中鉛の幾何平均は8.0 μg/dL、1-5才は9.8μg/dL、6-10才は6.2μg/dLであった。6-10才のIQは妊娠後期3分の1の血中鉛の増加に伴い有意に減少した。

妊娠28週頃の鉛被ばくは子供の後の知能発達に重要であり、おそらく永続的な影響を持つ。

これ以下で影響を示さない濃度、すなわち閾値があるという証拠はなく、鉛のIQへの強い影響は2-3μg/dLで起こっていた。

この値は今まで考えられていたより相当低いレベルである。
 
成人の認識能力低下への影響
 
鉛の認識能力への影響は子供でのみ起こるものではありません。

鉛被ばくが認識機能に影響を及ぼすことが分かっているが、成人で慢性的低レベル鉛被ばくが認識低下を起こすかどうかは調べられていなかった。最近の研究では老人の認識能力低下を加速することが報告されています。
 
マサチュウセッツ州ボストンにあるハーバード公衆衛生大学環境保健講座のヴァイスコプフらの研究グループは、高齢男性で鉛被ばくが認識影響に対する影響を調べた。

平均年齢67.4才の男性466人について知的能力試験を平均3.5年間隔で2度行い、知的能力低下の程度を調べた。

また鉛被ばくは、鉛の移動が起こりやすい膝蓋骨中の鉛濃度を調べた。

また影響を与えると思われる年齢や教育程度・喫煙・アルコール摂取・試験の間の間隔などの因子を調整した。

この結果、知的能力の急激な低下と膝蓋骨中の鉛濃度が関連していることが分かった。[Weisskopf et al. 2004]。
 
[注]MMSE:Mini-Mental State Examination (MMSE)。次を参照して下さい。http://www.pref.toyama.jp/sections/1211/chiho/kakarirukei/sansyo/s1Mini.pdf