・出展:Dr,みやけの「家庭の医学」
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肩こりと痛み・しびれ [内科から見た肩こり]
1)背部(肩甲骨部)の痛みとしびれ
背部や首すじの痛みは肩こりだけではなく、頚椎症や五十肩、背筋の断裂・肉離れなどさまざまな原因で起こることがあります。
痛みやしびれが強い時には整形外科医の診察が必要になりますが、原因が軽視され誤って診断されることがあります。
そのような事態を避けるためにも専門医の診察を受けることが望まれます。
ときに痛みや腕や指先のしびれは耐え難いもので、夜に上を向いて眠ることができなかったり、かろうじて楽な姿勢をみつけてやっと眠りについても痛みのために目を覚ますこともしばしばあります。
寝ていても腕の位置によっては、初めは楽でも徐々に背中や腕にかけてえぐられるような痛みを感じるようになります。
数十メートル歩いただけでも背部や肩甲骨部に激痛を生じて立ち止まるほどです(筆者の経験)。
ふつうはこれほどの痛みを起こすことはまれですが、痛みの強さは腕の位置によって変化する特徴があります。
また、首をそらすと痛みが誘発されるため、理髪店で洗髪の際に仰向けに寝ることができません。
肩こりが原因の時はこれほど強くならないにしても、背部や肩甲骨部の痛みや腕のしびれを起こすことはしばしばあります。背部や肩甲骨部の痛みを起こす原因については次のように考えられます。
1.肩こりは、僧帽筋や肩甲挙筋、菱形筋、項部筋群などのこり(筋緊張)が原因で起こる不快感ですが、背部には頚髄からでた神経の枝が走行しています。
これらの神経の筋肉の中を浅く走っている所では、筋肉のこりによって神経が圧迫されるようになります(圧痛点)。
代表的な圧痛点は、棘下筋部、肩甲間部、僧帽筋部、肩甲挙筋部にあります。この部分を中心にして痛みを感じやすくなるわけですが、これらの圧痛点を押すと刺すような痛みを感じます。
2.脊柱管内壁の知覚神経は脊椎-洞神経と呼ばれます。
脊椎-洞神経は脊髄神経から枝分かれし、交感神経(自律神経の一つ)からの枝と合わさった後に椎間孔から脊柱管内に分布します。
この神経は、加齢による椎間板の変性による刺激をキャッチして脊髄に伝達して、肩甲骨周囲の筋肉を反射的に収縮させるだけでなく、肩甲骨間に痛みやしびれを生じる点で肩こりと深い関係があると考えられます。
脊椎-洞神経は1本ではなく、それぞれ脊椎レベルに応じて神経がでています。
傷害を受ける脊椎レベルにより痛みの場所が少しずつ違います。
3.脊髄後枝内側枝は神経根から脊髄神経を枝分かれした後にすぐに出る神経で、椎間関節に分布しています。
椎間関節に起因する関連痛を肩や背中に放散痛として伝える神経です。
これら(1)、(2)、(3)の各神経の関与により背部や肩甲骨間の痛みやしびれが起こってきます。