飲酒とアセトアルデヒド2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・2.アセトアルデヒドの毒性
 アセトアルデヒド(Acetaldehyde:CH3CHO、AcH)は、蛋白、DNA、脂質とも結合し、化学反応を起こして、それらの一部を変性させる。
 アセトアルデヒドは、血中濃度が数μM以上になると薬理作用が現れ、血中濃度が10μM以上に上昇すると、顔面紅潮(顔面発赤)、頭痛、悪心(嘔気)、嘔吐などの、中毒症状が現れる。
 

従って、アセトアルデヒドは、強い、有害作用があり、肝毒性を示し、肝細胞のミトコンドリアを障害する。
 また、アセトアルデヒドは、肝類洞壁の星細胞(伊東細胞:コラーゲンを産生している、注2)を刺激し、肝線維化を促進する作用がある。

 

3.アセトアルデヒドの肝細胞内での代謝
 アルコールの代謝で生成されるアセトアルデヒド(Acetaldehyde)は、肝毒性が強いので、肝細胞内(細胞質ゾル)で、産生と同時に、90%以上が、速やかに、アルデヒド脱水素酵素(ALDH:aldehyde dehydrogenase、AcDH:acetaldehyde dehydrogenase)により分解されて、酢酸(アセテート:Acetate:CH3COOH)になる。
 

ALDHにより、アセトアルデヒドが、酢酸(アセテート)に代謝されると、ADHの時と同様に、NAD+が、NADH2+に、還元される。

空腹時や運動時など、脂肪酸のβ-酸化により、ミトコンドリア内にNADH2+が多く存在すると、NADH2+を生成するALDHによるアセトアルデヒドの分解が、滞って、アセトアルデヒド濃度が高まる。

その為、空腹時などに飲酒すると、早く酔い、長く酔っていることが多くなり易い。
 CH3CHO + NAD+ → CH3COOH + NADH + H+

 なお、MEOSによっても、アセトアルデヒドは、酢酸に代謝される。
 CH3CHO + NADPH + H+ + O2 → CH3COOH +NADP+ + 2H2O

 肝臓では、飲酒後に生成された酢酸は、肝臓では、酸化され難く、血中に放出され、末梢組織のエネルギー源となる。

酢酸は、TCA回路に入り、最終的には、炭酸ガス(二酸化炭素)と、水とが、生成される。
 肝臓で1molのアルコール(エタノール)を、炭酸ガスにまで分解する(完全分解)には、3molの酸素が必要だが、酢酸に分解する(酢酸への転化)には、1molの酸素で、行える。
 肝臓が、アルコール(エタノール)を、酢酸にまで分解する(酢酸への転化)には、約6時間要する(肝細胞のミトコンドリアの電子伝達系が、NADH2+を酸化する能力には、限度がある)。

 酢酸は、血管を拡張する作用があると言う。酢酸からは、アセチル-CoAが生成され、脂肪酸が合成されるので、アルコールを多飲すると、高脂血症を来たす。
 多量に飲酒すると、アセトアルデヒドが、完全に代謝を受けず、二日酔いの原因となる。

 アセトアルデヒドの排泄は、アルコール(エタノール)と同様に、呼気、汗、尿などから行われる。