大気汚染微粒子は酸化的ストレスを生じる | 化学物質過敏症 runのブログ

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・出典:食品・薬品安全性研究ニュース
http://www.jpha.or.jp/jpha/jphanews/anzensei.htm


・大気汚染微粒子は酸化的ストレスを生じる
Toxicology 187: 161-170 (2003)
疫学的調査により大気汚染浮遊粒子が心肺疾患および肺癌による死亡率と相関することが示されている.


大気中浮遊粒子は硫黄, 重金属および有機化学物質を含み, これらの物質が心肺疾患を起こし, 気道感受性を増大すると考えられる.

都市の大気中微粒子 (UFP) は気道上皮細胞, 肺上皮細胞およびマクロファージの炎症性サイトカイン産生を引き起こし, 上皮細胞とマクロファージの相互作用によりサイトカイン産生はより増強される.


ディーゼル排気粒子 (DEP) は UFP の主要な構成物質で, 炭素核に脂肪炭化水素, 芳香族炭化水素, キノン類, アルデヒドおよび複素環有機化合物を含んでいる.


DEP および DEP の有機抽出物 (OE-DEP) は肺の炎症, 喘息症状の悪化, 肺癌および心電図の異常を引き起こす.

OE-DEP はマクロファージの熱ショックタンパク生産とアポトーシスを誘導し, 気道上皮細胞のサイトカイン発現および血管内皮細胞の一酸化窒素産生を引き起こす.


また, DEP はスーパーオキシドおよび水酸基ラジカルを産生し, マウス肺の8-ヒドロキシデオキシグアノシン産生および造腫瘍に関係する.

したがって, UFP は DEP 同様に肺で酸化的ストレスを引き起こすかもしれない.

微粒子は肺の深層まで侵入し, 肺胞内に沈着する.

このため肺上皮とマクロファージが吸入した微粒子の最初の標的となるが, 肺に沈着した微粒子が何故, 疫学調査で認められる循環器系疾患による死亡率上昇につながるのかは明らかではない.


この関連を説明する幾つかの機序が考えられている.

(1) 肺の傷害による肺動脈圧の上昇.

(2) 微粒子を沈着した肺から遊離するサイトカインや生理活性物質が心肺機能に影響を与える.

(3) 有毒な有機化学物質または重金属が血管内に到達して血管系を傷害する.