食品における金属について10 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・9. 水銀(mercury)Hg
来 歴
水銀は液体状金属で、おそらく紀元前15,6世紀には人類に知られており、鉛とともに最も古くから利用されていた金属である。
有機水銀には様々な化学形態があるが、環境暴露による健康影響という観点からはメチル水銀(MM)が重要である。
日本では熊本県水俣市で発生した「水俣病」が有名である。

これは工場からメチル水銀が排水として流され、汚染された川の流域に住む住民が水、魚介類からメチル水銀を摂取したことによる公害である。


中毒症状・毒性
MMは全身的な毒性を持ち、曝露の量、期間に依存して、種々の器官や機能に影響を及ぼす。

しかし、多くの動物系において主な標的器官は神経系であり、その症状は曝露後ある潜伏期間をおいて発現する。

ヒトにおける症状は感覚鈍麻やしびれ感、言語障害、運動失調、視野狭窄、難聴などである。

症状には多少の動物種差があるが、一般的なものとしては運動失調、歩行異常、四肢反射の異常、抹消知覚障害、感覚鈍麻などである。

さらに、視覚障害や振戦がネコ、サルで観察されている。
発生、発育過程中の中枢神経系は、ほかの器官や組織に比べてMMに対する障害感受性が高い。

MMは容易に胎盤を通過するため、母胎を通じて発生期、胎生期に曝露を受ける。
その他の臓器障害としては、まず腎障害があげられる。

この腎障害はMMから生じた無機水銀により惹起されたとも考えられる。


代 謝
MMは消化管、呼吸器、皮膚から吸収されるが、環境曝露としては経口摂取が主として考えられる。

消化管からの吸収率はヒトや動物のデータから95~100%とされている。MMの主な排泄経路は、糞便、尿、毛髪であり、動物種などにより差があるが、ヒトの主な排泄経路は糞便である。MMの生体内動態は主にシステイン化合物の濃度や代謝輸送と密接に関係している。

MMは腸管では主にシステインと結合してアミノ酸の輸送系に依存して吸収される。

血液中ではヘモグロビン、アルブミン、その他SH化合物と平衡関係により結合し、肝や腎では主にGSHや蛋白と結合した形で存在する。
腸内細菌により分解されて生じた無機水銀や剥離した腸上皮細胞に含まれる水銀が糞便として排泄される。
MMはCySMMとして脳血管関門と通過するが、このことが中枢神経毒性を惹起する大きな要因となっている。

食品衛生上の注意点
水銀の暫定基準値として魚介類に総水銀0.4ppm、カルメチル水銀0.3ppm(水銀として)がある。

ただし、マグロ類(マグロ、カジキ及びカツオ)及び内水面水域の河川産の魚介類(湖沼の魚介類は含まない)、並びに深海性魚介類等(メヌケ類、キンメダイ、ギンダラ、ベニズアイガニ、エッチュウバイガイ及びサメ類)については適用しない。

メチル水銀が0,1ppm以上含まれる食品