食品における金属について8 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・7. 鉛(lead)Pb
来 歴
鉛は、採鉱、精錬、成型が簡単であるため、古代から用いられてきた。

ローマ時代には、水道管、陶器用釈薬、化粧品、鍋などに使用された。

このため鉛中毒が多発し、ローマ文明は衰退したとも言われている。

欧米では、家屋の内外壁の塗装に用いられた鉛含有ペンキによって鉛中毒が起きている。

また日本では、母親の使用した含鉛白粉を授乳時に乳児が経口摂取したために発生した鉛脳膜炎が報告されているが、1935年に含鉛白粉が禁止されて以来、日本では発生していない。
現在、金属鉛は自動車用蓄電池の極板に最も多く用いられている。
鉛は世界中の多数の鉱石の中に広く存在するが、単体としてではなく、ふつう硫化物の方鉛鉱として存在する。

鉛鉱石は一般に銀や亜鉛とともに天然に存在する。


中毒症状・毒性
急性中毒は、鉛の短時間大量曝露によって起きるがまれである。

初期症状として口腔内の収斂、口渇、金属味がみられ、その後悪心、腹痛、嘔吐が続く。

塩化鉛を摂食したときの嘔吐物はミルク状であり、鉛の硫化物摂取では糞便が黒色になる。

大量の鉛が急激に吸収されたときには、胃腸管内への体液損失によるショック状態が見られることがある。

急性の中枢神経症状としては感覚異常症,疼痛そして筋力低下があげられる。

急性重症溶血のため貧血やヘモグロビン尿が認められる。

また腎臓障害の結果、尿量は減少する。大量曝露後には、1~2日後に急死する例もある。

この急性期を過ぎると身体に吸収沈着した鉛による慢性症状が現れる。
典型的慢性症状としては鉛蒼白、貧血、鉛縁、鉛仙痛(、鉛による伸筋麻痺、好塩基性斑点赤血球、コプロポルフィリン尿が上げられていたが、現在ではこのような症例をみることはあまりない。
鉛は胃腸管の平滑筋に作用し、消化管症状を呈する。

その結果、食欲不振、腹部不快感そして頭痛があげられる。

腸管の痙攣性収縮による痛みが鉛仙痛といわれるが、この鉛仙痛はしばしば便秘症状を伴う。
鉛の特徴的末梢神経症状として、神経筋症状や手首の伸筋麻痺(鉛麻痺)による下垂手がある。
中枢神経症状としては鉛脳症が重要であり痙攣や昏睡が見られ、病理的には脳の浮腫、血管の拡張や腫脹等が見られる。

鉛脳症はしばしば後遺症を残すといわれており、急性鉛脳症を呈した小児患者にCa-EDTAなどによるキレート剤治療を行ったとき40%に神経学的後遺症がみられる。
鉛による血液学的影響は、①溶血性貧血と、②ヘム合成系への障害に大別される。


代 謝
無機鉛は、人の呼吸器や消化管から吸収される。

吸収率を見ると、成人では呼吸器から約40%、消化器からは約10%以下であるが小児においては、消化管からの吸収は約50%に達する。

吸収された鉛は血液中から肝、腎、筋肉等の軟部組織に取り込まれ、さらに安定蓄積部位としての骨組織に沈着する。

鉛は脳血管関門を通過するので、脳血管関門の未熟な小児においては鉛脳症の注意が必要である。

また鉛は胎盤を通過する。胎児への鉛の移行は妊娠12~24週で明らかとなり、それ以降鉛濃度は高くなるという。
鉛の排泄は一般に遅く、ヒトにおける鉛の生物学的半減期は約10年といわれており、主に腎と消化管から排泄される。

消化管への排泄は、唾液腺、膵臓、そして消化管内腔に位置する分泌腺からの能動的あるいは受動的分泌、上皮細胞の脱落、および胆汁分泌による。

食品衛生上の注意点
特に食品用容器を輸出する場合、諸外国の鉛の基準値には特に注意する必要がある。

鉛が0,5ppm以上含まれる食品