食品における金属について7 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・6. 銅(copper)Cu
来 歴
銅は、人類が最も古くから使用していた金属の一種で、工業的にも鉄に次いで重要な金属である。

銀や金といった貴金属同様、遊離した金属状態(自然銅)で天然に産出し、また道具を作るのに利用できたため、紀元前5000年以前から使われている。
銅は地殻中に70ppm、海水に0.02~0.01ppm存在する。

自然銅としても産出するが、今日使われている銅の約85%は、銅を2%あるいはそれ以下含有する低品位鉱を製錬したものである。
スズと銅からなる青銅は、人類が最古に使用した合金のひとつである。

銅と亜鉛が主成分である黄銅も非常に有用な合金である。
医療面では、硫酸銅が催吐剤として、また銅が子宮内避妊器具(IUD)の成分に用いられている。


中毒症状・毒性
自殺目的で大量の銅塩を摂取した場合や銅製の容器、湯沸かし器から溶出した銅が混入した飲食物を摂取した場合には、急性の銅中毒が起こる。

症状は嘔吐、上腹部の痛み、下痢を伴う胃腸障害のほか、肝障害、黄疸、溶血などが観察される。

嘔吐や上腹部の痛みは10~15mg程度の量で起こるとされているが、催吐性を目的とした投与量は25~75mg程度である。

産業現場において経気道的に曝露した場合は、金属熱が起こる。
 また、ウイルソン病という常染色体劣性遺伝疾患があり、これはセルロプラスミンが生涯にわたって欠乏し、肝に過剰に蓄積するものである。


代 謝
ヒトでは、食物から摂取した銅のうち吸収されるのは約半分で、残りは糞便として排泄される。

経口摂取された場合の銅の吸収率は、少量投与の場合56%だが、多量投与(100mg)の場合は30%と投与量が多いほど低下する。
銅の吸収には2つのステップがある。第一は銅の粘膜細胞への取り込みであり、第二は輸送ステップで、粘膜細胞から血漿への移行である。
吸収された銅は直ちに血漿中でアルブミン、赤血球と結合し、大部分は肝に運ばれる。

またごく微量が骨・赤血球・その他の組織に運ばれる。
銅は、肝細胞において、メタロチオネインやセルロプラスミンと結合している。
銅は主に脳と肝、心臓、筋肉、腎臓などに蓄えられている。

血中でも組織中でも銅は蛋白と結合しており、多くは酵素の構成要素となっている。
銅の排泄は主に胆汁を通して行われる。

尿を通しての排泄が少ない理由は、血液中の銅はセルロプラスミンをはじめ高分子たんぱく質に結合しているため糸球体でろ過されず、再吸収されてしまうためである。


食品衛生上の注意点
栄養強化剤としてグルコン酸銅、硫酸銅が調製粉乳に使用することが認められているが、一度に大量の銅を摂取すると、中毒を発症する。

食中毒事例
昭和25年6月 大阪市において179名が嘔吐、けん怠、悪心などの症状を呈する食中毒があり、原因は「ビン詰グリンピース」中に硫酸銅が533g/Kg混入されていたためであった。

銅が10ppm以上含まれる食品