フェニトロチオンの毒性14 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・11.4 骨格筋
急性被ばくで、筋脱力・疲れやすさ。線維束攣縮は一般的所見で、数日遅れるだろう。

麻痺が随伴するだろう。
重症のフェニトロチオン中毒で横紋筋融解症が起こる事が報告されている。

横紋筋融解症は、横紋筋細胞が融解し、筋細胞内成分が血中に流出する疾患で、外傷や壊死、脱水、熱中症、甲状腺機能亢進症、薬剤などによって引き起こされることがある。
43 才女性が50%フェニトロチオン乳剤約00 ml を自殺のために飲んだ。縮瞳や硫炎などが見られた。

入院3 日後にはクレアチンホスホキナーゼがピークとなった。

5日後、クレアチンホスホキナーゼが減少したが、コリン作動性症状が遅れて現れた。

これは女性が使用していたパーキンソン症候群治療薬トリヘキシフェニジルによると思われる。
11.5 免疫
フェニトロチオンは免疫毒である。
フェニトロチオンの汚染物質の1 つ、O,O,S-トリメチルホスホロチオエートは、マウスで免疫応答を修飾することが知られている。
フェニトロチオンは、ウイルス増強物質容疑者と考えられ、ライ症候群と関連づけられた。
霧生他(2001)とNalashima et al. (2002)はフェニトロチオンのサイトカイン注生産に対する影響をヒトの末梢血中の単核球で調べた。

フェニトロチオンは末梢血中の単核球増殖を1-500 μM で濃度に依存して阻害した。

インターフェロンγとインターフェロン2 の産生もフェニトロチオンにより濃度に依存して阻害された。

これらのことから、フェニトロチオンは,免疫抑制作用を持ちうることを示す。
Li et al. (2010)はラットにフェニトロチオンやその分解産物3-メチル-4-ニトロフェノールを0、5、10 mg/kg・日( 4-5 日/週、9 週間)投与して、脾臓の細胞への影響を調べた。

この結果、脾臓のCD8 陽性T 細胞の割合やCD8 陽性/CD4 陽性T 細胞の比は10 mg/kg を投与された群で減少した。

また3-メチル-4-ニトロフェノール10 mg/kg を投与された群ではCD3 陽性とCD8 陽性T細胞の割合が減少した。

この他にフェニトロチオン投与による脾臓と体重減少も見られ、脾臓ではアポトーシスを起こしたリンパ細胞が見られた。

NK 細胞やB 細胞、マクロファージや顆粒球に影響はなかった。

このことはフェニトロチオンや代謝物が脾臓に対する影響を通じて、免疫系に影響を与えうることを示す。

* CD4 を発現したT 細胞はヘルパーT 細胞であり、他のT 細胞の機能発現を誘導したりB細胞の分化成熟、抗体産生を誘導する。

CD4 陽性T 細胞は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)や、ヒトT 細胞白血病ウイルス(HTLV-1) が感染する細胞。

CD8 陽性T 細胞はウイルス感染細胞などを破壊するキラーT 細胞である。

11.6 消化器系
肝臓
農薬中毒で死んだ患者で、240 ppm のフェニトロチオンが肝臓で検出された。
おう吐・流涎・下痢・大便失禁・腹痛が起こる。
腸重積症が一人の小児有機リン中毒症患者で報告されている。
上部消化管出血が50%フェニトロチオン製剤60 ml を飲んだ成人男性で気づかれている。

11.7 泌尿器
尿頻度の増加あるいは重度の場合尿失禁が起こる。
蛋白尿を伴う免疫複合体腎障害や不定形の結晶尿も起こりうる。

11.8 血液
プロトロンビン時間の変化や出血傾向が起こるだろう。臨床的に重大な出血や凝固亢進は稀である。
有機リン中毒の顕著な特徴は血漿シュウードコリンエステラーゼや赤血球アセチルコリンエステラーゼ、または両方の阻害である。