・出展:独立行政法人 国立健康・栄養研究所
「健康食品」の安全性・有効性情報
https://hfnet.nih.go.jp/
・「いわゆる健康食品」について
I.安全性に関する問題
食品を選ぶ際に最も重要なのは安全性です。
健康のために良かれと口にしたもので健康被害を受けては本末転倒。
「いわゆる健康食品 (保健機能食品以外のもの)」は、あくまでも食品なので、一般の農産物や生鮮食品等と同じように、安全性を確認する各種試験の実施や、製造・販売について厚生労働省の許可を受けることは義務付けられていません。
中には独自の試験を実施した製品もありますが、ほとんどは安全性や有効性に関する科学的な根拠が不明なまま販売され、起こりうる悪影響なども明確にされていません 。
そのため行政機関が行う収去検査 (実際に販売されている製品を検査すること) などの検査項目に該当しない限り、健康被害が起きるまで検査されないものがほとんどです。
食品に医薬品成分を添加することは薬事法で禁止されているにもかかわらず、「いわゆる健康食品」として販売されている製品の中には、医薬品成分を含み重大な健康被害を起こしたものもあります。
こういった違法な製品は、行政的に無承認無許可医薬品とされますが、買い上げ調査や、実際に健康被害が起きたあとで検査をして初めて、違法な成分 (原材料の表示に記載されていない) が含まれていることが明らかになるのです (1) 。
また、カプセルや錠剤の形状をしている食品も、利用の際には特に注意が必要です。なぜなら、カプセルや錠剤は一般的な食品に比べて特定成分を過剰に摂取しやすく、健康被害を受ける量まで簡単に摂ってしまうおそれがあるためです。
含まれている成分が、たとえ日常的に食する食材に含まれる成分と同じものであっても、特定成分のみを精製・凝縮した食品を利用する場合は、その摂取量に注意しなくてはなりません (2) 。
II.有効性に関する問題
健康食品の多くはイメージ先行で販売されています。
有効性の確認試験が義務付けられていない「いわゆる健康食品」の場合は、うたわれている有効性に科学的根拠があるかどうかは不明です。
広告やインターネットなどで利用者の談話が記載されているものがありますが、これらはあくまでも「個人の体験談」であって、科学的な有効性を証明するものではありません。
「いわゆる健康食品」の利用と平行して医薬品を服用したり、生活習慣の改善を試みたりするケースもあり、説明されている効果がすべて「いわゆる健康食品」によって得られたものかどうかは判断できません (1) (2) 。
また、「いわゆる健康食品」に添加された素材 (あるいは成分) は、産地や収穫された季節、製造工程などの影響で品質が左右されます。
そのため、仮にその素材 (あるいは成分) の有効性情報があったとしても、その情報をそのまま製品に直接当てはめることはできません。
製品に添加された素材 (あるいは成分) の純度や、有害物質の混入の有無等により、製品の有効性は変わります。
「素材情報」と「製品情報」は必ずしも一致しないことに留意してください (2) 。
III.利用する側の問題
病気の治療・治癒を目的にした健康食品の利用は間違っています。
なぜなら、ある疾病にかかっている人が、自己判断で安易に「いわゆる健康食品」を利用すると、科学的根拠に基づいた適切な治療を受ける機会を失ったり、現在行われている治療の妨げになったりして、思わぬ健康被害を受けることになるからです。
「いわゆる健康食品」は、「○○病が治る」や「△△に効く」などの医薬品的な効能をうたうことは薬事法により禁止されていますが、多くの製品が魅力的なキャッチフレーズで販売されています。
その表現に魅かれ、有害性を考えずに利用したり、製品に対して医薬品的な効能を求める消費者も少なくないようです。
しかし、「いわゆる健康食品」で病気の治療・治癒はできない、と考えておくのが妥当でしょう。
治療が必要な人や現在治療中の人が、そのような製品を利用する場合には、適切な疾病治療の妨げにならぬよう、必ず主治医に相談するか、あるいは利用していることを伝えましょう。
さらに、「いわゆる健康食品」の中には、病気や健康、美容といった消費者の関心や弱点に付け込む悪徳な商法や商品もあります。
購入や利用に当たっては、専門家のアドバイスを取り入れながら、その必要性を冷静に判断してください (1) (2) 。