ピレスロイドの毒性3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・以上の結果は、妊娠中に親ネズミに少量投与したピレスロイド系殺虫剤デルタメトリンが、胎児に影響を与え、出生後に大人(成熟)になっても、脳に影響が残り、行動や機能に影響を与えていることを示している。

この結果は、デルタメトリン固有の毒性を示すものかどうかが問題となるが、幼い時期のマウスにアレスリンを投与した実験でも、アセチルコリン受容体の減少が見られており(1)、ピレスロイド共通の毒性である可能性がある。


幼い時期に投与した影響
生後10日ごろの幼いマウスはピレスロイドに敏感に反応する。

その影響は、マウスが成熟してからも残っているという一連の報告がある。

幼い時期の影響

生後10日のマウスに、神経症状を現さない量のデルタメトリン(0.71, 1.2 mg/kg)やバイオアレスリン (0.72, 72 mg/kg)を7日間投与した。

最後に投与した1日後に、ムスカリン性とニコチン性受容体*密度を調べた。(7)

アセチルコリン受容体への短期的影響
両方のピレスロイドは新生児マウス脳のコリン作動系を2様式で影響を与えた。

何らの神経毒症状を起こさない少ない量で、大脳皮質のムスカリン性受容体に影響を与えた。


少量投与
デルタメトリンは高親和性結合部位の割合の増加と、低親和性結合部位の減少を起こしたが、逆のことがバイオアレスリン投与によって見られた。また、デルタメトリンは大脳皮質でニコチン性受容体密度を増加させた。

多量投与
多量投与ではピレスロイド中毒の典型的な症状、デルタメトリンで舞踏病様アテトーゼ*が、バイオアレスリンでは振戦が現れた。

この症状は投与中に徐々に減少し、4日目には消失した。

この投与量でデルタメトリンは海馬のムスカリン性受容体と大脳皮質のニコチン性受容体に影響を及ぼしたが、バイオアレスリンは明らかな影響を及ぼさなかった。

このことは新生児マウスで急速に発達中のコリン作動性の系は生体外毒物に敏感であることを支持している。(7)
 
長期的影響
幼い時期にピレスロイドを投与すると、成熟してからもピレスロイドの影響が見られ、行動やアセチルコリン受容体に影響することが知られている。また、ピレスロイドなどを幼い時期に投与し、似たような神経毒物を投与すると、その影響が強く現れることも報告されている。
 
アセチルコリン受容体への影響
急速に脳が成長しているマウスにバイオアレスリンやデルタメトリンを投与すると、ムスカリン性のアセチルコリン受容体に影響を及ぼす。

生後10日目から16日目の間、1日1回バイオアレスリン(0.7 mg/kg)またはデルタメトリン(0.7 mg/kg) を投与し、マウスの行動学的検査を生後17日目と4か月で行った。行動学的検査の1-2週間後殺し、ムスカリン性受容体密度を調べた。(5)
 
自発的運動の増加
成熟した生後4か月の行動学的検査は、バイオアレスリン及びデルタメトリンを投与したマウスの両方で、自発運動行動の有意な増加を示した。

バイオアレスリンとデルタメトリンを投与した動物でムスカリン性受容体密度のそれぞれ有意な減少と減少傾向が見られた。

この研究は新生児マウスで急速な発達をしている間のコリン作動性の系のかく乱は、大人になったマウスで行動とコリン作動性の系とに永続的変化を導くことを示している。

(3,5) また、この影響は投与量が増えるにつれて強まる(1)。
 
母乳を経由した影響
ピレスロイド系殺虫剤シハロスリンを飲料水(0.02%)に溶かして母ラットに、出産時から授乳21日目の離乳まで投与した。

シハロスリンは母親の行動に変化を与えなかった。被ばくした子供の体重は投与しなかったラットと差がなかった。

しかし、一部の行動学的試験で、成熟しても子のラットに影響が現れた。ラットの母親の飲み水にシハロスリンを投与すると、子が成熟した90日後にも影響が残っていた。(11)

 

幼児期被ばくと過敏性
 
生涯を通じて、ほ乳類は環境毒物に被ばくしており、その一部は神経系に急性影響を与える。少量被ばくが後の再被ばくと組み合わさった場合はほとんど研究されていない。
 
幼児期のバイオアレスリン被ばくと成熟時のバイオアレスリン被ばく
幼い時期にバイオアレスリンに被ばくした成熟マウスで、バイオアレスリンに被ばくすると感受性が増す。

生後10日のマウスにバイオアレスリンを経口投与した(0.7 mg/kg/日・7日間)。生後5か月に同じ量のバイオアレスリンを経口投与した。

最後の投与7時間後に。自発運動活性検査を行ったところ、新生児期と大人の両方でバイオアレスリンに曝されたマウスで有意な異常が明らかになった。

ムスカリン性受容体*密度は有意に増加した。その2か月後、7か月目には、自発行動障害とムスカリン性受容体の変化が持続しており、学習と記憶障害も現れた。これらの結果は、バイオアレスリンの幼い時期の被ばくは成熟マウスの感受性を増加させる力がある。

この投与量では幼い時期に担体だけを与えた動物には影響がない。(12)

幼児期DDT投与が成熟期アレスリン投与に与える影響 

アレスリンを幼児期に投与すると、成熟したときに被ばくすると過敏に反応することが分かっているが、同じ様な毒性を持つ物質を幼児期に投与し、成熟した段階でどのように反応するかを調べた。

DDTとピレスロイドの両方はナトリウムイオンチャンネルに類似の影響を与え、神経の過剰興奮を起こすことが知られている。
 
生後10日のマウスに少量のDDT (0.5 mg/kg) を経口投与し、成熟した時に(5か月)に少量のバイオアレスリン (0.7 mg/kg) を1日1回、7日間経口投与した。(6)