ピレスロイドの毒性4 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・行動の変化
投与しない動物と比較すると、DDTを投与した動物で行動に変化が見られた。(6)
 
受容体の変化
ムスカリン性受容体*の変化は新生児期にDDTを投与され、成熟した時にバイオアレスリンを投与された場合にのみ大脳皮質で有意な変化が見られた。(6)

この研究はDDTにすでに被ばくしている動物では、成熟したときに似たような神経毒物に再び被ばくすると、コリン作動性ムスカリン性受容体の感受性が高まっていることを示している。(6)


 
さらに永続的変化が積み重なる
生後10日のマウスにDDTを経口投与した場合、似たような物質バイオアレスリンを生後5か月に投与すると、バイオアレスリンに対して過敏になることが示されたが、この変化が永続的かどうか調べた。
幼い時期のDDT投与と成熟期のバイオアレスリン投与の重なった影響は2か月後も残る

DDT (0.5 mg/kg) を生後10日に経口投与し、5か月にバイオアレスリン (0.7 mg/kg) を7日間投与し、生後7か月目に検査をした。

DDTを幼時に投与され、成熟してバイオアレスリンを投与された動物でムスカリン性コリン作動性受容体の変化及び行動変化と学習障害が見られたが、子共の時にDDTを与えず大人になってバイオアレスリンを投与されたマウスの行動障害は小さくかった。

幼児期のDDT被ばくは、同じ様な神経毒作用を持つ短期間働くピレスロイドに対する感受性を、成熟した動物で増加させる。この影響は被ばく2か月後に行動障害とムスカリン性アセチルコリン受容体変化を不可逆的に導いた。(9)
 
一般化
幼い時期の被ばくが成熟した時期に再び同じあるいは似たような被ばくをすると過敏性が増す
環境的な不運は自然で起こっており、これは幼児期被ばくと後の成熟期の種々の有毒物質被ばくである。

新生児期に母乳や直接被ばくにより有毒物質に影響を受けることがある。多くのほ乳類で周産期は脳の急速な発達が特徴である。

脳の急激な発達中にDDTやバイオアレスリンに被ばくすると、大人になってからバイオアレスリンやパラオクソンに感受性が高められる。

新生児期と大人になってからの被ばくの組合せは、自発行動の異常とムスカリン性コリン作動性受容体の変化を起こし、学習と記憶障害を招く。私たちの研究は農薬への被ばくはたとえ少量であっても大人の被ばくに対する反応を強化あるいは修飾し、機能不全状態を加速する。(8)

これはDDTやピレスロイドに限らない。生物の発達には正常な成熟のために決定的な時期がある。

周産期の間にそのような時期、「脳性長スパート」と呼ばれる時期である。哺乳動物脳の発達でこの時期は、胎児あるいは新生児の脳から成熟した脳に変える多数の生化学的変化を伴っている。

DDTやピレスロイド・有機燐・ニコチン・パラコート・PCBのような低レベルの環境汚染物質に、「脳成長スパート」の時期に被ばくすると、マウスで成熟した脳機能に不可逆的変化を招く。

成熟した動物での行動とコリン作動性障害の誘導は幼児期の生後10日付近の短い時期に限られており、成熟した動物に投与した場合、永続的影響は外見上ない。

幼い時期の被ばくは同じ様な神経毒作用を持つ物質に対する成熟動物の感受性を増加させ、それ以上の行動障害と学習障害も招く。(4)