化学物質問題を考える「ダイオキシン」 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・化学物質問題を考える
ダイオキシンは、強い毒性と残留性・蓄積性・高い生物濃縮などから、健康や生態系に重大な影響を与えると懸念されています。

ここではダイオキシンの構造や生体に影響するメカニズム・生体への影響・汚染の実態を考えます。

ダイオキシン類
 
ダイオキシンと同じ様な構造と毒性を持つ化合物をダイオキシン類とよびます。ダイオキシン類にはダイオキシンとジベンゾフラン・PCBがあります。
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左の図のように、ダイオキシン類は両側にベンゼン環があり、その間をダイオキシンの場合は酸素2個で、ジベンゾフランは酸素1個、PCBの場合は酸素なしで結びついています。
 
 
異性体
 
ベンゼン環に塩素がつく位置と数によりダイオキシンには75種、ジベンゾフラン類には135種類の異性体があります。

この中でも特に毒性の強いダイオキシン、2,3,7,8-TCDDを例として図に示します。

PCBには209種類の異性体がありますが、コプラナーPCBとよばれる13種類のPCBがダイオキシン類似の毒性を持つと考えられています。
 
PCBは両側のベンゼン環の間に結合が1つしかないため、ベンゼン環は回転ができます。

コプラナーというのはベンゼン環同士が同じ面にあるもの(平行なもの)を指します。
 
 
毒性等量
 
これらのダイオキシン類やコプラナーPCBの毒性は種類によって異なるため、2,3,7,8-TCDDの毒性を基準としてダイオキシン類やPCB類あるいは混合物の毒性や量を毒性等量(TEQ)として表現します。
毒性のメカニズム
ダイオキシンやホルモンかく乱物質が注目されるようになり、毒性が発揮されるメカニズムが徐々に分かってきました。ここではスミチオンのような有機燐系殺虫剤とダイオキシンの毒性発揮メカニズムを比較して考えます。
 
有機燐系殺虫剤の場合
 
体の運動に関与している骨格筋や血管や臓器などの平滑筋に、動けという命令を出すのは神経です。

神経細胞が興奮すると電気的変化がおきます。

電気的信号は軸索を伝わって神経繊維の末端に達します(終末)。

終末と筋肉の間にはすきまがあり、ここからは電気的信号は伝わりません。

筋肉に対する信号伝達は終末内のシナプス小胞内にあるアセチルコリンという物質によって行われます。

信号が終末まで伝わると、シナプス小胞内のアセチルコリンが筋肉とのすきまに放出され、筋肉の表面にあるアセチルコリン受容体に結合します。そうして神経細胞の命令が筋肉に伝わり、収縮を起こします。

アセチルコリンが存在し続けると、筋肉は収縮を続けます。

収縮が続くと、けいれんした状態になります。
 
必要な時だけ筋肉を収縮させるには、神経の終末と筋肉の間にあるアセチルコリンを取り去る必要があります。

アセチルコリンを分解する酵素がアセチルコリンエステラーゼです。

この酵素が正常に働くことによって、正常な運動ができるのです。
 
また、アセチルコリンは末梢の神経だけでなく、脳や脊髄の中でも似たような機構で働いています。
   
  アセチリコリンによる情報伝達の仕組み


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有機燐系殺虫剤はアセチルコリンエステラーゼというアセチルコリンを分解する酵素を阻害することによって、アセチルコリンの蓄積をおこし、筋肉の痙攣や自律神経系の異常を起こし、中枢神経系に影響を与えます。

酵素はたくさん作られるために、影響を与えるためには相対的に多量の有機燐剤が必要です。