「化学物質の環境リスクの低減」報告書(案) | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

・出典:環境省HP
http://www.env.go.jp/index.html


・第三次環境基本計画における重点的分野
「化学物質の環境リスクの低減」報告書(案)
1.現状と課題
(1)化学物質の問題の背景
私たちの暮らしは、多くの種類の化学物質を様々な用途に使うことによって成り立っています。

化学物質には、製造されてそのまま消費者が使用するもの、製品の中に含まれるもの、製造・消費・廃棄等の過程で排出されるもの、燃焼や環境中での反応等で意図せず生成するもの、元から天然に存在するもの等があります。

製造量・存在量にも多寡があり、有害性、環境残留性、生物蓄積性、長距離移動性等の性質も様々です。
このような化学物質の適切な管理には、化学物質に固有の有害性の程度と人や生物への暴露のレベルを考慮し、環境を通じて人や生態系に悪影響を及ぼす可能性(環境リスク)をできるだけ少なくすることが基本となります。

しかし、その環境リスクは科学的に完全には解明されてはおらず、管理に際して不確実性の中での意思決定が必要となることがあります。

(2)これまでの対策の推移
化学物質の「環境リスク」の概念を打ち出したのは、第一次環境基本計画(平成6年)でした。

第二次環境基本計画(平成12年)において、有害性と暴露を考慮し、規制に加え自主的取組等の多様な対策手法を用いて環境リスクを低減するという方向が明示され、その後、化学物質審査規制法に基づく規制に暴露の観点や動植物の保護の観点が導入されたほか、大気汚染防止法に自主的取組が位置づけられるなど、取組が進められました。

その結果、有害大気汚染物質やダイオキシン類の対策等は大きな成果を挙げました。

しかし、化学物質の環境リスクの低減のためには、なお多種多様な課題が残されています。

また、今後5年程度を見渡せば、化学物質排出把握管理促進法については平成19年以降、化学物質審査規制法については平成21年以降にそれぞれ法律の施行状況について検討を加え、結果に応じて必要な措置を講ずることとされています。

(3)有害性、暴露、リスクに関する情報の不足
市場に流通している化学物質について有害性や暴露、環境残留性に関する情報が不足していることが課題として挙げられます。

我が国では、化学物質審査規制法に基づいて、新規に製造・輸入が行われる化学物質については事業者が事前に国に届け出る仕組みが整備されています。

同法の公布時(昭和48年)に既に製造又は輸入が行われていた約2万種の既存化学物質については、これまで国が安全性の点検を実施してきました。

平成16年度までの調査済み又は調査着手済みの既存化学物質の数は、分解性・蓄積性が1455物質、人毒性が275物質、生態毒性が438物質となっています。

また、OECD高生産量化学物質プログラムにおいて、我が国の政府及び化学業界も積極的に参加して安全性点検を進めています。

今後、産業界と国が連携して、安全性点検をさらに加速化することが必要になっています。

また、化学物質の特性には、免疫系や神経系への影響、次世代への影響の懸念や、食物連鎖を通じた蓄積性、地球規模での長距離移動性等、科学的なメカニズムが十分に解明されておらず、多様なリスクを評価するための実用性の高い試験・評価方法を研究開発することが課題となっているものもあります。
暴露に関する情報も不足しています。

製造・輸入量や用途、環境への排出量については、化学物質審査規制法や化学物質排出把握管理促進法に基づき、一部が把握されているのみです。

環境中の残留量についても一部の物質がモニタリングされているにすぎず、環境中で検出されてもその発生源や排出経路、人や動植物への暴露経路の特定が困難な場合があります。

暴露の把握に当たっては、排出源や排出経路の多様さ、天然由来の化学物質の存在に起因する地域特性についても、十分な考慮が必要です。

さらに、製品中に含まれている化学物質の種類・量や、製品の廃棄に伴う排出量も必ずしも十分に把握されていません。
化学物質の有害性や暴露に関する情報は、製造事業者や使用事業者が把握していることもありますが、その情報の関係者間での共有が必ずしも十分ではありません。

最終製品に含まれる化学物質についてどのような情報を消費者に提供していくべきかについても課題となっています。