・香料が一部の人の眼や気道に症状を起こすと知られている。
香料によるこの症状はアトピーとの関連がなく、IgE が仲介するアレルギーとは異なると考えられている。
環境中にある香水に曝されることが呼吸器症状を起こしうると、喘息や香水接触アレルギー患者が良く報告する。
このこととの関係を調べるため、患者の好塩基球からのヒスタミン放出が健康な人より多いか否かをin vivo で調べた研究がある。
患者と対照の両方の好塩基球は香水濃度に伴いヒスタミン放出を増加する。
高濃度では喘息患者の好中球は健康な人の好中球より多くのヒスタミンを放出することが分かった。
このことは人の末梢血の好塩基球からのヒスタミン放出をIgE に関係なく濃度に依存して増やすことが分かった。
香水に対する好塩基球の反応性亢進が香水に影響を受ける患者に見られている(Elberling et al. 2007)
*天然の香料であっても喘息に影響を及ぼす
またアレルギーや気道閉塞がない患者でも香料の影響が調べられている。Milqvist and
Lowhagen (1995)はIgE が媒介するアレルギーがないか、あるいは気管支閉塞がない非特異的刺激後に呼吸器症状を示す患者を調べた。
この場合臭いを分からなくするために鼻を塞いで香水により刺激をした。また活性炭入りマスクの予防効果を調べた。
気道過敏性や喘息が気管支閉塞なしに香水によって引き起こされることと、活性炭入りマスクに予防効果がないことが分かった。
この過敏性は嗅覚によって起こるのではなく、気道や眼を通じた三叉神経反射によって誘導されるだろうと、研究者は考えた(Milqvist and Lowhagen1995)。
ヘアスプレーによって気道機能亢進者では最大呼気量が減少することが報告されている。
香料と可塑剤の量が異なるヘアスプレー製品によっても差が見られ、特に香料の影響が大きいと考えられた(Schlueter et al. 1979)。
香水を染みこませたしおり(栞)からの香水吸入が喘息を悪化させるかどうか調べた研究がある。
この香水は喘息患者で対照と比較して努力呼吸の1 秒量(FEV1)の減少を起こし、香水に曝した後に喘息患者の20.7%で息苦しさや喘鳴が起こった。
重症患者ほど香水被ばくで喘息が悪化しやすかった(Kumar et al. 1995)。
職業により喘息が悪化することが知られている。
最近の研究をまとめた米国CDC 研究者の報告によると、物理的因子やストレスなどと並んで香水などの臭気も喘息悪化の誘因としてあげられている(Herneberger 2007)。
この一例として、ネコのトイレ用の砂に添加した香料が原因となった事例も報告されている(Jensen and Petersen 1991)。
runより:今日はここまでです、明日残りを掲載します。