・短期的影響
組織における熱の発生は、RF エネルギーと人体との間の相互作用の主要なメカニズムです。
携帯電話に利用されている周波数においては、エネルギーの大部分は皮膚やその他の表面的組織に吸収され、その結果、脳またはその他の器官での温度上昇は無視しうる程度になります。
多くの研究が、ボランティアの脳の電気的活動、認知機能、睡眠、心拍数や血圧にRF 電磁界が及ぼす影響を調べてきました。
今日まで、組織に熱が発生するよりも低いレベルのRF 電磁界ばく露による健康への悪影響について、研究による一貫性のある証拠は示唆されていません。
さらには、電磁界ばく露と自己申告の身体症状または“電磁過敏症”との因果関係について、研究による裏付けは得られていません。
長期的影響
RF 電磁界ばく露による潜在的な長期リスクを調査した疫学研究は、そのほとんどが脳腫瘍と携帯電話使用との関連を探索してきました。
しかしながら、多くのがんは、腫瘍に至るような相互作用があってから長い年数を経るまで検出できないため、また、携帯電話は1990 年代初めまで普及していなかったため、現時点での疫学研究は、比較的短い誘導期間で出現するがんしか評価できません。
しかしながら、動物研究の結果は、RF 電磁界の長期的ばく露でのがんリスク上昇がないことを一貫して示しています。
複数の大規模な多国間疫学研究が完了または進行中です。
これには、成人の健康影響項目を多数調べた症例対照研究と前向きコホート研究が含まれています。
今までで最大規模の成人を対象とした後ろ向き症例対照研究であるINTERPHONE は、国際がん研究機関(IARC)が調整して、携帯電話使用と成人の頭頚部のがんとの関連があるかどうかを確認するためにデザインされました。
参加した13 カ国からの収集データの国際的プール分析によれば、10 年以上の携帯電話使用に伴う神経膠腫および髄膜腫のリスク上昇は見られませんでした。
使用期間の増大に伴うリスク上昇の一貫した傾向はありませんでしたが、自己申告された携帯電話の累積使用時間が上位10%に入った人々において、神経膠腫のリスク上昇を示唆するものがありました。
研究者らは、バイアスと誤差があるために、これらの結論の強固さは限定的であり、因果的な解釈はできないと結論しています。
主としてこれらのデータに基づき、国際がん研究機関(IARC)は、無線周波電磁界は「ヒトに対して発がん性があるかも知れない」(グループ2B)に分類し
ました。
このカテゴリーは、因果関係は信頼できると考えられるが、偶然、バイアス、または交絡因子を根拠ある確信を持って排除できない場合に用いられます。
脳腫瘍のリスク上昇は確立されなかったものの、携帯電話使用の増加と15 年より長い期間の携帯電話使用についてのデータがないことは、携帯電話使用と脳腫瘍リスクのさらなる研究が必要であることを正当化しています。
特に、最近の若年者における携帯電話使用の普及と、それによる生涯ばく露の長期化に伴い、WHO は若年者グループに関する今後の研究を推進してい
ます。
小児および思春期層における潜在的な健康影響を調査するいくつかの研究が進行中です。
ばく露制限ガイドライン
携帯電話使用者に対するRF ばく露制限は、比吸収率(SAR)-身体の単位体積当たりのRF エネルギー吸収率-で示されています。
現在、二つの国際組織1,2が、医学診断または治療を受けている患者を除いて、職業者と一般公衆に対するばく露ガイドラインを制定しています。
これらのガイドラインは利用可能な科学的証拠の詳細な評価を根拠にしています。
WHO の対応
一般の人々や政府の懸念に対して、WHO は1996 年に、電磁界の健康への悪影響の可能性についての科学的証拠を評価するため、国際電磁界プロジェクトを立ち上げました。
WHO は、無線周波電磁界ばく露による健康影響に関する全ての研究について公式のリスク評価を2012 年までに実施する予定です。
さらに、上述のように、WHO の専門機関である国際がん研究機関(IARC)は、携帯電話などからの無線周波電磁界の潜在的発がん性について2011 年5 月にレビューを行いました。
また WHO は、知識の欠落を埋めるため、RF 電磁界と健康に関する優先度の高い研究を「研究アジェンダ」を通して定期的に確認し、これを推進しています。
WHO は一般の人々向けの情報提供資料を作成し、また携帯電話の潜在的な健康リスクについての理解レベルの向上のため、科学者、政府、産業界、一般の人々の間の対話を促進しています。
runより:WHOの立場とすれば電磁波過敏症の存在は認めてるが再現性などの部分でまだ病気とは言えない。
しかし電磁波の危険性は提唱する、電磁波過敏症の研究も続けるという姿勢です。
日本が電磁波過敏症を病気と認めるにはWHOが認める事が前提になりそうです、患者は「電磁波攻撃されている」と思ってる人も少なくないのに・・・
実際第二次世界大戦では電磁波兵器も開発されていたのだから尚更だ。
厚生労働省には早く研究を始めてほしいと願います。