6.行政への要望
(1)日常生活の中で、二酸化塩素による部屋等の除菌をうたった商品が適切に使用されるよう、商品の安全性と有効性について十分に検証をする等、事業者への指導を要望する。
(2)安全性に関する表示・広告が、一部の成分のものか商品自体のものかが不明確な銘柄があった。
商品としての安全性を表示、広告するよう事業者への指導を要望する。
(3)商品の表示や広告に特定の感染症の予防効果をうたったものが見られた。
薬事法に抵触するおそれがあると考えられるため、監視・指導の徹底を要望する。
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この種の製品は、2010年2月に開催した講演会「身の回りの有害化学物質にご用心」に於いて、講師の渡辺雄二さんが大幸薬品の「クレベリン」を、今こんなに危険な製品が出てきていると紹介し、参加者みんなが驚いた製品です。今回の調査結果からも、以下のことが言えると思います。
有効性がはっきりしていない一方、安全性に関して大いに問題のある製品である。
二酸化塩素は、急性毒性が塩素の5倍近くある有毒物質である。
メーカーは、濃度が低いから安全であると主張するかもしれないが、ガス状のテスト結果はほとんどないことから、安全性が確認されているとはいえない。
また、安全性の参考目安とされている「作業環境基準」は労働現場のもので、長時間曝露される家庭の安全基準とは別物である。
臭気テストでは、日本建築学会の基準をクリアしている製品はほとんどなかった。不快な臭いを伴う製品である。
製品表示には「食品添加物に使われている」「砂糖や塩と同じ高い安全性」「米EPAから認証されている」等と書かれて、いかにも安全であるという印象を与えている。
2社が健康被害の訴えがあったと回答しているが、氷山の一角であると思われる。体調不良との関係に気がつかない利用者も多いのではないか。
この種の製品には、効能をうたうと薬事法に抵触するということはあるが、それ以外は法的な規制はいっさいない。
二酸化塩素を利用した空気清浄機が開発されて、既にホテルなどで使われているようです。これは、今回の除菌製品を大掛かりにしたものだと思われます。今後、病院や老人施設、図書館等の公共施設に導入される恐れもあります。
11月16日、国民生活センターは、大幸薬品が「クレベリン ゲル」について各社新聞広告で、"同センターが品質を確認。調査の結果、有効性と安全性の取り組みを評価"などとする事実と異なる記載をしていると発表しました。
大幸薬品は、企業モラルが欠けている会社であることが分かりました。
24時間、室内空気中に二酸化塩素が振りまかれる、これらの製品はまったく不必要で危険な製品です。
行政には、この種の製品の規制を、メーカーには安全性データの要求をしていきましょう。
消費者は、こんなものは買わないことです。(安間節子)
資料:二酸化塩素による部屋等の除菌をうたった商品-部屋等で使う据置タイプについて- 国民生活センター 2010年11月11日発行 図表は同資料から。