・(4)表示等
1)安全性に関する表示・広告
二酸化塩素が食品添加物として認められていること等から安全であるとうたっている商品があり、消費者に誤認させるおそれがあった。
「国連食品添加物専門委員会「A-1」クラス認定」や経口摂取する砂糖や塩と同じレベルの安全性等と表記しているものが4 銘柄(No.3~5、No.8)あった。
食品添加物は経口で摂取するものであり、今回の商品を使用して吸入等で曝露するものとは違うため、消費者に商品が安全であると誤認させるおそれがあると考えられた。
また、国内外の公的機関で安全性が確認され認定を受けていると受け取れる表示やインターネット広告が7 銘柄(No.1~5、8、9)でみられた。
これらは二酸化塩素に関するものと考えられるが、そのことが明記されていないものが4銘柄(No.3~5、9)あった。このような表記は、商品自体の安全性が確認され認定を受けていると消費者に誤認させるおそれがあった。
2)有効性に関する表示・広告
「新型インフルエンザ対策」「パンデミック対策」や、ノロウイルスやO-157 等の感染症の予防効果等をうたった表示・広告が8 銘柄(No.1、3~9)でみられた。
これらは薬事法に抵触するおそれがあると考えられた。
(5)事業者へのアンケート調査
テスト対象9 銘柄に製造元、発売元等として表示されていた10 社にアンケートを依頼し、8社(7 銘柄)から回答を得た(回収率:80 %)。
1)商品設計及び有効成分
居住空間における効果の程度を確認している事業者は少なかった。
また、有効成分として二酸化塩素以外の成分もあげている銘柄があった。
販売開始時期については、1 銘柄が1997 年であったが、多くは2008 年以降に販売が開始されており、各銘柄で既に数万~100 万個程度が販売されていた。
有効成分の除菌の対象は、ノロウイルス、インフルエンザ、大腸菌類、MRSA 等で、それらに対して除菌効果を発揮する気中濃度は0.01~0.19 ppm と幅があったが、根拠となるデータはないと回答したところや無回答のところもあった。
有効成分の気中濃度と効果の確認について、実使用における除菌の効果の確認を進めていたところは1 社(No.7)であった。
2)吸入の身体的影響に関するデータと健康被害
ほとんどの事業者が、実際に使用した際の安全性を確認していなかった。
また、塩素系ガスの放散が比較的多かった銘柄では、使用者からの健康被害等の報告を受けているところがあった。
有効成分の身体への影響に関するデータを持っているかについては、3 社が「持っている」、3 社が「持っていない」、2 社が「その他」と回答。事業者が参考にしていたデータは、「英国健康安全管理」、ACGIH の作業環境基準やテスト対象銘柄との関連性が不明な他社の液体の商品のMSDS(製品安全データシート)等であった。
二酸化塩素のヒトへの健康影響については、特に部屋等で使用する際に想定される低濃度域での安全性や有効性に関する知見は少ないのが現状であり、実際に商品を使用した際の安全性を確認する取組みを行っていたところは1社(No.7)であった。
健康被害の報告については、塩素系ガスの放散が比較的多かったNo.6~9 で回答のあった4 社のうち2 社(3 銘柄のうち2 銘柄)が、使用者からの体調不良やにおいに関する連絡を受けていた。