・ 肝硬変の患者は、肝臓でのグリコーゲン貯蔵量が少なく、夜間から早朝にかけて、グリコーゲン分解により、ブドウ糖を十分に血中に供給出来ないので、筋肉を異化(分解)し、アラニンなどのアミノ酸から、糖新生を行い、ブドウ糖を血中に供給する。
従って、夜間、睡眠前に、軽食(200kcal程度の御握り、パン、肝疾患用経口栄養剤など)を摂取すると良いと言う。
夜食を摂ると、筋肉の異化が防止されると言う。
肝硬変の患者は、食後の肝臓での糖取り込みが、減少して、食後高血糖になり易い。
肝血流を確保する為、食後30分間程度、安静にして、臥床することが推奨される場合もある。
肝血流量は、寝た姿勢(臥位)から立ち上がる(立位になる)と、約30%減少し、また、運動すると、約50%減少する。
非代償性肝硬変の患者は、塩分制限を行い、1日の食塩摂取量を、3~7gに制限する。
蛋白は、分岐鎖アミノ酸(BCAA)を多く含む、魚肉、鶏肉、乳類を摂取する。
高アンモニア血症を予防する為に、蛋白質制限を行うが、BCAAを含有する肝疾患用経口栄養剤で、不足するアミノ酸を補う(BCAAは、肝臓でより、骨格筋で代謝される)。
肝硬変患者は、肝臓でのアルブミン生成が低下し、低アルブミン血症になる。
肝硬変になると、血液中に芳香族アミノ酸(AAA)やメチオニンが増加し、BCAAが低下する。
肝硬変患者は、高蛋白食を摂取しても、血清アルブミン値は上昇せず、むしろ、アンモニアが上昇してしまい、高蛋白食が、肝硬変の治療に、有害な場合がある(蛋白不耐症)。
肝硬変患者にBCAAを投与する(内服させる)と、同じ量の蛋白(ラクトアルブミン)を投与した場合より、食欲やQOLが改善し、肝不全など、肝硬変合併症が少ない。
BCAAは、mTOR(mammalian target of rapamycin)分子を介して、蛋白合成を促進させる。
肝硬変患者は、夜間就寝前に、軽食(late evening snack)を摂取すると、夜間の空腹時間が短縮され、夜間の蛋白合成が増加する(糖新生による筋肉の分解が抑制される)。
軽食(late evening snack)としては、簡単に調理可能で、糖質や蛋白質(アミノ酸)を含んだ食物が良い(200kcal程度の御握り、パン、肝疾患用経口栄養剤など)。
肝疾患用経口栄養剤(BCAA製剤のアミノレバンEN、へパンED)は、夜間に摂取した方が、蛋白合成が促進される。
アミノレバンENは、1包(50g)を約180mlの水又は温湯に溶かして(溶液の量は、約200mlになる)、1日3回食事と共に経口摂取する。
アミノレバンEN1包(50g)には、総カロリーが約200kcal/200ml、蛋白質は、13.5g含まれている。
アミノレバンENには、BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)などのアミノ酸が含まれているが、アラニンは含まれていない。
アミノレバンENには、ビタミンA(パルミチン酸レチノール)、ビタミンD(エルゴカルシフェロール)、ビタミンB1(ビスベンチアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ナイアシン(ニコチン酸アミド:ビタミンB3)、パントテン酸(ビタミンB5)、ビタミンB6(塩酸ピリドキシン)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸ナトリウム)、ビタミンE(酢酸トコフェノール)、ビオチン(ビタミンH)、ビタミンK1(フィトナジオン)、葉酸、カルシウム(グリセロリン酸カルシウム)、鉄(クエン酸第一鉄ナトリウム)、亜鉛(硫酸亜鉛)、銅(硫酸銅)なども、含まれている。