・2).アルコールの線維増生作用
アルコールは、肝内プロリンプールを増加させ、コラーゲン合成酵素を活性化させる。
アセトアルデヒドは、肝臓の線維産生細胞によるコラーゲン合成を促進させる。
その為、アルコール性脂肪肝は、アルコール性肝線維症に、信仰することがある。
アルコール性脂肪肝では、自覚症状として、全身倦怠感、食欲不振、悪心などの症状が見られることもある。
血液検査では、高脂血症、高乳酸血症、高尿酸血症などが見られる。
γ-GTP値が、上昇する。
AST(GOT)の上昇は、軽度のことが多く、上昇しても、500単位までで、AST>ALT(GOT>GPT)のパターンで、上昇する。
なお、アルコール性脂肪肝では、糖新生は、抑制され、(グリコーゲン貯蔵量が減少することもあって、)低血糖を来たしたり、乳酸アシドーシスや、高尿酸血症を来たす。
過剰飲酒により、消化管や膵臓の機能が低下し、また、飲酒時の食事内容が偏ると、低栄養状態になることもある。
偏食を伴なう飲酒によって、摂取するビタミン類が不足し、また、飲酒したアルコールの代謝により、ビタミン類が消費されてしまう。
必須脂肪酸や、ビタミンB6(ピリドキシン)や、ビタミンB5(パントテン酸)が欠乏すると、脂肪肝を発症させ易くする。
アルコール性肝障害(脂肪肝や肝硬変など)を来たすような飲酒家は、ビタミンB1、ニコチン酸、葉酸などのビタミン類が欠乏し易い。
アルコール脱水素酵素(ADH)では、ニコチン酸が消費され(補酵素としてNAD+が必要)、肝ミクロゾームエタノール酸化酵素(MEOS)では、ビタミンB1が消費される。
酒のみを飲んで、御つまみや野菜を摂取しないと、ビタミン類が不足して、肝障害を助長する。
(肝硬変の)肝癌の予防に、抗酸化物質として、1日、ビタミンCを500mg、ビタミンEを100~300mg、β-カロテンを6mgと、大量に摂取すると、良いと言う説もある。
アルコール性肝障害は、アルコールの代謝で生成されるアセトアルデヒドによる肝障害(ミトコンドリア障害)と、過剰飲酒による消化管や膵臓の障害による栄養障害(栄養素の消化吸収不良)が起きている。
アルコール性肝障害は、禁酒が必要:アルコール性肝障害(特に、アルコール性脂肪肝)は、禁酒により、治癒することが多い。
アルコール性肝障害、特に、アルコール性肝炎は、肝硬変に移行するおそれが高い。アルコール性肝硬変は、5年生存率が、禁酒者では約70%だが、過剰飲酒継続者は30~40%に過ぎない。
非アルコール性脂肪肝(NASH:ナッシュ)から、脂肪肝炎が発生するには、脂質の過酸化(過酸化脂質)が関与している。
非アルコール性脂肪肝で脂肪肝炎を発生した患者の3~4割の患者は、肝臓に過剰に鉄が蓄積して(血中フェリチン値が上昇)、炎症、繊維化、発癌を増悪化させている。