・トリプタン製剤として、日本では、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタンが販売されている。
a):スマトリプタン50mg及び100mgを、健康成人男性に、単回経口投与した場合、投与24時間後までに、未変化体が約2%、インドール酢酸体が約40%、尿中に排泄された。
b):尿中に、未変化体は投与量の6%、N-脱メチル体(活性代謝物)は投与量の2%認められる。
c):リザトリプタンは、主に、A型モノアミン酸化酵素(MAO-A:monoamine oxidase、MAO、EC番
号 1.4.3.4)により酸化的脱アミノ化を受け、薬理学的に不活性なインドール酢酸体が生成される。
リザトリプタンは、ヒトの肝臓の各種CYP(肝チトクロムP450各分子種CYP3A4/5、1A2、2C9、2C19、2E1)のマーカー活性を阻害しないが、CYP2D6に対しては、競合的に阻害する(Ki=1400 nmol/L)。
14C標識リザトリプタン10 mgを用いて健康成人を対象して行った実験結果では、14C標識リザトリプタン10 mgを単回経口投与した後、放射能活性で測定すると、投与5日後までに、82.4%が尿中に、11.5%が糞便中に排泄される。
なお、投与量の約14%は未変化体として、51%はインドール酢酸代謝物として尿中に排泄された。
d):ゾルミトリプタンは、主として肝臓に於いてCYP1A2により活性代謝物に代謝され、更に、A型モノアミン酸化酵素(MAO-A)により不活性代謝物に代謝され、尿中及び糞中に排泄される。
主な代謝物は、N-脱メチル体、N-酸化体、インドール酢酸体(血漿中及び尿中の主代謝物)の3種。
ゾルミトリプタン25mgを、単回経口投与した場合、投与量の60%以上が尿中に排泄され(主にインドール酢酸体)、約30%が糞中に排泄される(主に未変化体)。
e):ナラトリプタンは、CYP1A2、CYP2C9、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4/5などの複数のCYP分子種で代謝される。
ナラトリプタンは、各CYP分子種(CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4/5)の代謝活性を阻害しない。
ナラトリプタンは、モノアミンオキシダーゼ(A型及びB型)の代謝活性を阻害しない。ナラトリプタン2.5mgを、健康成人男性に、空腹時に単回経口投与した場合、投与24時間後までに、投与量の約50%が未変化体として尿中に排泄された。
トリプタン製剤の半減期は、アマージ錠2.5mg=5.05時間、エレトリプタン錠20mg=3.2時間、ゾルミトリプタン錠2.5mg=2.4時間、スマトリプタン錠50mg=2.2時間、スマトリプタン点鼻液20mg=1.87時間、スマトリプタン注3mg=1.46時間、リザトリプタン錠10mg=1.6時間。
トリブタンは、血管収縮作用がある。
トリブタンは、心筋梗塞の既往がある患者、虚血性心疾患又はその症状・兆候のある患者、異型狭心症(冠動脈攣縮)のある患者、脳血管障害患者、一過性脳虚血発作の既往がある患者、末梢血管障害を有する患者、コントロールされていない高血圧症の患者には、内服させてはならない(禁忌)。
トリプタン(スマトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン)は、主に肝臓で代謝されるので、重篤な肝機能障害を有する患者では、血中濃度が上昇するおそれがある。
トリプタン(スマトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン)は、家族性片麻痺性片頭痛、孤発性片麻痺性片頭痛、脳底型片頭痛あるいは眼筋麻痺性片頭痛の患者には投与しないこと。
ナラトリプタン(アマージ錠2.5mg)は、半減期が長い:アマージ錠2.5mgを1回内服させると、約2時間半で最高血中濃度に到達し、半減期は約5時間と、持続時間が長く作用する(投与24時間後も、頭痛改善効果は、71.6%)。ナラトリプタン(アマージ錠)投与24時間以内の片頭痛再発率は、約12%であり、また、再発例の再発までの時間は、ナラトリプタン投与群では15.3時間であり、プラセボ群より2倍以上、長い。