・出典:食品・薬品安全性研究ニュース
http://www.jpha.or.jp/jpha/jphanews/anzensei.htm
・職業病としてのゴム手袋アレルギー
―1995~2001年の皮膚科情報ネットワークからの調査結果―
保護用ゴム手袋は, 危険性, 毒性, 感染性, 刺激性, または感作性物質等の接触から手指皮膚を守るために使われ, ゴム (エラストマー) を材料としているが, その製造のため現在までのところ感作性を有する加硫促進剤を使用せざるを得ない.
ここ10年以上, 加硫促進剤であるチウラム類が医療用手袋における主要なアレルゲンであったが, 最近, 多くの製造業者はチウラム類からジチオカルバミン酸塩類あるいはメルカプトベンゾチアゾール (MBT) とその誘導体に置き換えている.
英国での調査結果では, チウラム類感作症例の出現頻度が減少していると報告されている.
今回, 著者らは皮膚科情報ネットワークからデータを集め, さらに, 加硫促進剤に対するパッチテストを実施し, 製造業者が加硫促進剤を変更したことの影響を解析した.
1995~2001年の累計では, ゴム手袋接触皮膚炎は2,047名あり, パッチテストの結果, 調べた加硫促進剤のうちチウラム類化合物が合計陽性率15.1%と最も高率を示した.
なかでもテトラエチルチウラムジスルフィド (TETD) が10.3%と高い陽性率を示した.
年次をおってみると1997~2000年にかけて有意ではないがチウラム類陽性率は減少傾向を示し, また, 2001年に再び増加傾向を示したが, これも有意な変化ではなかった. ジチオカルバミン酸塩類は合計陽性率が3.4%で, 陽性となったのはほとんどの場合ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛であった.
MBT 誘導体のなかではモルホリニルメルカプトベンゾチアゾールが陽性率2.5%と, MBT の2.0%より高かった.
チオ尿素類は陽性率0.5%であった. 1,3-ジフェニルグアニジンは陽性率1.9%であったが, ほとんどの場合反応は弱かった.
チウラム類とジチオカルバミン酸塩類の交差反応性は検査された1,975例のうち63例 (3.2%) でみられた.
この場合, ジチオカルバミン酸塩類に反応した人の92.7%がチウラム類にも反応したが, 逆は21.1%であった.