・「出典」ガウスネットワーク
http://www.gsn.jp/index.htm
・米コネチカット大学 電灯は乳がんの原因か?
【Hartforo Lourant 2005年2月6日より要訳】
コネティカット大学の癌専門疫学者であるリチャード・スティーブンスは、乳がんの発生の謎を解き明かそうとしている。
近代化した社会で、なぜ乳がんが増えてきているのか、いまだに科学的な合意はないと彼は言う。
スティーブンスと他の少数の研究者たちは、このところ世間でわずかに疑いの目を向けられはじめている「電灯」について焦点をあてようとしている。
人工的な光に長時間曝されると、体の中のサーカディアン(周期)リズムが乱される。
体内時計は何千年もの進歩の過程で睡眠や覚醒などを調整してできあがった。
体内時計が乱れると、メラトニンなどのホルモン量や細胞のメカニズムに影響をきたす。
それが癌の発生を引き起こすとスティーブンスは理論づけた。
この理論を示唆した研究とは、観察に基づいたものである。
たとえば、看護婦のような夜間労働の女性は、昼間の勤務の女性と較べると乳がんがより促進される傾向にある。
また、盲目の女性は目の見える女性より乳がんになりにくい。
最近の研究では、スティーブンスとエール医科大学の科学者たちは、乳がんの発生メカニズムの説明として、人工的な光がそのひとつとなりうることで意見が一致した。
「体内時計遺伝子」は夜と昼の体の反応調整をつかさどっているが、この遺伝子に、その機能に変調をきたす部分に変化があれば更年期直前の女性は、癌のリスクが高くなる。
「一概にこれが原因とは言えないが、さまざまな証拠から見ると、調査するだけの価値はある」とスティーブンスは進言している。
10件の乳がんケースのうちほぼ9件は遺伝的なリスクよりも環境的なファクターやライフスタイルによるものであると科学者は推測している。
乳がんによる死亡率は年々下がっている。
そのいっぽうで、発生は社会の近代化に伴ってここ何十年の間、少しずつ増加している。
これはさまざまな研究が示している。ある女性が低リスクの国から高リスクの国へと移動すると、乳がんリスクもそれに伴って上昇する。
そこで、食生活や農薬などの化学汚染などの影響に疑惑の目がむけられるわけである。
スティーブンスらは、その他にも現代の生活スタイルや環境からくる要因が、乳がんリスクの増加に関与しているはずだと確信している。
1980年代半ば、スティーブンスは癌と電気の使用との相関について調査をした。
この研究がもとで、送電線と癌の発生に相関関係があるかどうかの活発な議論が始まった。
スティーブンスは、この時から電気の光がなんらかの働きをしているのではないかと思うようになった。
人類の長い歴史のほとんどの間、人間は夜の間は睡眠や休息をとっていた。
それによってメラトニンのホルモンが作り出されるのだった。
メラトニンは、サーカディアン・リズムを調整している。
また、エストロゲン量にも影響を及ぼすという研究もある。
人工の光はこれらのリズムを乱し、体内のエストロゲン生成を促すと言われているメラトニンの量を減らす。
しかし、現在のところ、この光原因論は、科学的常識からは異端視されている。
乳がんの原因となる環境的要因や生活習慣に関する研究が進むことで、諸悪の根源となるひとつの大きな原因を突き止めることはできなくても、ある程度、乳がんと相関があると見られるさまざまなマイナス要因は明らかにされるだろうと考える科学者は多い。