・ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議より
http://www.kokumin-kaigi.org/kokumin03_53_07.html
・放射線の発がんリスクをどう考えるか?判断を避けた食品安全委員会
事務局植田 武智
緊急時に20倍甘くなる基準値とは?
3月11日の東日本大震災による福島第一原発事故は、原子炉内蒸気の外部放出に始まり、数回の水素爆発と格納容器の破損を経て、放射性物質を大気中に放出し続けた。
さらに大量の汚染水を海へ垂れ流す状態が続いている。
日に日に事故の深刻度が増し、大気や水、土、食品への放射能汚染が広がっていく中で、枝野幸男官房長官は「直ちに健康に影響がでるレベルではない」という発言を繰り返すばかり。
「安全の目安の数値を示してほしい」という記者の質問には、「軽はずみな表現で無用な不安を与えたくない」と回答を避け続けた。
一方テレビでは元原子力研究機関の研究者や大学教授などの専門家が「エックス線何回分だから安全」などの説明に終始していた。
現在日本政府が定めている一般市民の放射線の被ばく基準は1年間当たり1ミリシーベルトだ。
これは国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告をもとに策定されている。しかしICRPは今回、緊急時対応としてその基準を20~100ミリシーベルトに引き上げることを勧告している。
緊急時に平常時の20倍以上も甘くなる基準値とはそもそも何なのだろう? 平常時と緊急時で放射線のヒトへの影響が変化することはない。
だとすれば基準を緩和することで健康被害のリスクも上昇するはずだ。
新聞報道(注1)によれば、ICRPが基準緩和を勧告した理由は「汚染が残る原発周辺地域にも住民が住み続けることができるように」という配慮だという。
確かに故郷に住み続けたいというのは人情だ。
しかし住み続けることで将来健康影響が起こるとしたら、そうした情報を示さないで「基準を緩和しましたからどうぞ」と言われても住民も困ってしまうだろう。
実際に1ミリシーベルトを限度に避難指示を出すとしたら、いわき市や福島市といった大都市も含んだ大規模なものとなってしまう。
避難に伴う経済的なコストも途方もないものになるだろう。
しかしそうした経済的要因を考慮しているのであれば、そのこともはっきり示す必要がある。