緊急時に20倍甘くなる基準値とは?2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・リスク評価を避けた食品安全委員会
 政府が放射能汚染のリスクについてきちんとした説明をしない状況のなか、厚生労働省は3月17日、食品残留に関する暫定規制値を設定し、食品安全委員会へその妥当性を諮問した。
 3月23日から29日の間に開催された食品安全委員会の4 回の会議を筆者は傍聴し、国民会議としても意見書を2度提出した(注2)。
 なぜ今回、食品安全委員会の審議に注目したかというと、この機関は行政的配慮やさまざまな利害関係から独立して、中立的・科学的に危険性の評価を行うために設立されたものだからだ。

「直ちに健康に影響が出ない」という枝野官房長官の発言や、20倍の基準緩和についてもその根拠となる科学的証拠が示されことが期待された。
 特にこれまでの食品安全委員会での健康影響評価では、放射線のような遺伝子損傷による発がん物質は、ADI(一日摂取許容量)を評価できないという結論になっている。

農薬や食品添加物のなどへは原則使用できないという意味だ。

ゼロリスクにできない環境汚染化学物質のリスク評価においては、暴露した人たちの障害にわたる発がんリスクの上昇が10万人もしくは100万人に1人上昇する値以下になるように基準値を定めてきた。
 この見方をもとにすれば、同じように遺伝子損傷による発がん作用が確認されている放射性物質は、基本的には残留は認められないことになる。

ゼロにできない場合、10万人に1人の発がんリスクの上昇になる値を定めて評価することになるはずだ。
 しかし4回の会議を経て作成された「放射性物質に関する緊急取りまとめ」はこうした詳細なリスク評価は避けて、ICRPなど国際機関の勧告内容を追認するだけのものとなった。
 その間、国民会議が提出した2回の意見書の趣旨は3点あげられる。
① 緊急時だからといって従来のリスク評価のやり方を逸脱していい加減な評価をおこなわないこと
② 外部からの規制値緩和の圧力に屈して甘い評価を下さないこと
③ 暫定的評価して発表する場合、期限を決めて詳細なリスク評価を再度行うことを明示すること
だった。
 結果としては、一勝一敗一引き分けといった感じで完全勝利ではないが、ある程度の効果はあったと自負している。
 ①については、上記のような放射性物質の詳細なリスク評価は先送りされてしまい、ICRPの評価内容を追認するだけのもので終わってしまった。

これだけなら特に食品安全委員会が行う必要はなく、厚生労働省の官僚たちが机上で電卓をはじけばできただけのことだ。
 ②については、茨城県知事や民主党の岡田克也事長などから規制値をさらに緩和する圧力があり、毎日新聞や日経新聞が「規制緩和決定」といった飛ばし記事で煽る中、食品安全委員会のとりまとめは規制値緩和も可能な玉虫色のものだった。

しかし現在の所、規制値緩和はされていない。
 ③は、今回の取りまとめは暫定的なもので継続的に詳細なリスク評価を行うと明示された。