・まず、省エネルギーから始める。
生活・産業で知恵を絞れば20~30%の省エネルギーは無理な目標ではない。最終的には低エネルギー社会の実現である。
職住接近の都市、スマートシティーなど多くのアイディアがある。
要は実行であり、国家戦略として方針を明確にすればそれを実現する技術と資金はある。
巷間、原発が使えなくなれば地球温暖化の防止は難しいとの説が散見される。
これは地球温暖化対策には原子力しかないとするこれまでの主張の裏返しに過ぎない。
原子力に代わる新エネルギーの創出と低エネルギー社会の実現は、むしろ最も本質的な地球温暖化対策となる。
今回の一連の事故(事象というグロテスクな言葉が役所から出てメディアも使用した)で専門家のあり方が問われ、また専門家とはどういう集団なのか国民に見えてきた。
少なくともマスメディアに登場した多くの“専門家”の発言・コメントは現象、事故の後追いとその安全安心に集中していた。
専門家には個別の分野技術の持つ利便性ばかりでなく、可能性も含めて負の側面も警告し、予防的方策も提示してほしい。
国民の側からの素朴かつ重要な質問に、わからないでは済まされない。
学問の世界ではわかったことと、わからないことを明確にすることが研究の出発点である。
しかし、技術を社会で利用するためには危険がわからなければ使用を中止する外はない。
効用や必要があれば、危険についても告知して国民の理解と支持を求めるべきであろう。秘密主義は社会的に有用な技術さえもつぶしかねない。
今回の災害では、原発専門家だけではなく、一般科学者にも世論は厳しい。「日経」では、肝心のときに頼りにならないと書かれていることも付け加えておきたい。 (2011.4.8)