食物アレルギー;園・学校での対応 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・シンポジウム11
食物アレルギーをめぐる新たな進展
司会者:河野陽一1), 宇理須厚雄2)(千葉大学医学部小児病態学1), 藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院小児科2))

S11-5.食物アレルギー;園・学校での対応

海老澤元宏, 今井孝成
国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部


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学校における食物アレルギー対策は平成20年5月に日本学校保健会より「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」が発刊され,学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)の運用が開始され,大きな一歩を踏み出した.学校での食物アレルギー対応やアナフィラキシー対応(エピペンも含む)も整備され,学校でアレルギー児が安心して生活できる環境作りが整ったといえる.しかし,作成した後の普及啓発活動にまで十分な対応ができなかったため全国一律に開始というわけに行かず徐々に普及している状態である.

学校でのアレルギー対応に続いて保育園でのアレルギー対策についても厚生労働省の指導のもと平成21年度から検討が始まった.

乳幼児では学童に比べて食物アレルギーの頻度が高く,保育園での給食対応や誤食による事故などが問題になっている.

保育園での食物アレルギー対策では標準的な診断や治療を受けていない児が存在することや近隣の開業医,保育園関係者の食物アレルギーに対する考え方の多様性が問題となる.

保育園では乳児期早期から児を預かるので,食物アレルギーの診断が確定していない児も預かることや,離乳食を進めていく段階では未摂取の食品も多く存在することなどの特徴がある.

幼児では,寛解していく時期でもあるため時々刻々の対応が必要であり,誤食による事故の防止の対応策も求められる.

園・学校関係者に食物アレルギーの正しい知識の普及や啓発活動を行うこと,食物除去の申請は医師の診断書に基づくこと,寛解時の申請方法,保育園の給食対応のルール作り,リスクマネージメントの考え方を取り入れた共通献立メニューの導入など,具体的な対策を詳細に決定していく必要がある.

日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会と保育園保健協議会を中心とした研究班において検討した原案に基づいて平成22年度末までに保育園での食物アレルギー・アナフィラキシー対応を含むアレルギー対応ガイドラインが作成される予定である.

第60回日本アレルギー学会秋季学術大会 2010年11月開催