厚生労働科学研究の成果 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・シンポジウム4
食物アレルギーの患者に優しい医療
司会者:海老澤元宏1), 向山徳子2)(国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部1), 同愛記念病院小児科2))

S4-2.厚生労働科学研究の成果(食物アレルギー診療の手引き2008と栄養指導の手引き2008)

今井孝成1), 海老澤元宏2)
国立病院機構相模原病院小児科1) 国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部2)


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 食物アレルギーに関連する厚生労働科学研究(主任研究者海老澤元宏および今井孝成)から食物アレルギー診療の手引き2008(海老澤班)と食物アレルギーの栄養指導の手引き2008(今井班)が作成された.

I.診療の手引き2008診療の手引き2005は多くの先生方に配布され,また広く支持され,わが国の食物アレルギーの正しい診療の普及に貢献した.

しかしアレルギーの診療は日々進化を遂げるため,手引きが最新の情報を提供し続けるべく,今回改定作業が行われた.

その主な改正点を以下に示す.

1.食物アレルギーの診断 1)特異的IgE検査に関して,Probability Curve(KomataらJACI2007)を取り上げた.2)食物負荷試験の記載を見直し,より具体的に記述した.3)即時型の診断のフローチャートを整理した.

2.食物アレルギーの治療・予防 1)原因食物決定後の経過観察のフローチャートを整理した.2)食物負荷試験実施の注意事項を新設した.

3.アナフィラキシーへの対応 学校における対応を加筆した.

4.食物アレルギーと栄養 全般的に改訂し,栄養の手引きとの関連を加えた.

5.食物アレルギーの社会的対応 1)義務表示の特定原材料にえび,かにを加えた.2)学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)の紹介を加えた.

II.栄養指導の手引き2008平成18年から食物アレルギーに関する栄養指導料の加算が始まっているが,臨床現場で食物アレルギーの栄養指導が広く行われ始めたとは到底いえない.

また一方で患者は誤まった栄養指導に翻弄されており,適切な栄養指導を切望している.

この“ねじれ現象”は現場の医師や管理栄養士の力不足が一因といえる.

このため円滑で闊達な栄養指導が出来るように,その概要を示すものを作成した.

本来の対象は,食物アレルギー栄養指導の経験のないか少なく,これまで食物アレルギーの栄養指導の方法論を学んだことのない管理栄養士としている.

しかし,その内容は食物アレルギーに関与するあらゆる関係者に読み応えのあるものとなっている.

構成は,I.目的,II.主な実施時期,III.指導前の確認事項,IV.指導項目と要点,V.除去食物別の指導の要点,VI.除去食物別の具体的な解説例,VII.加工食品のアレルギー表示について,VIII.医師とともに患者や保護者を支援,IX.食物アレルギー患者の現状(背景)となっている.

第21回日本アレルギー学会春季臨床大会 2009年6月開催