・シンポジウム3
食物アレルギーの最近の動向
司会者:海老澤元宏1), 古江増隆2)(国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部1), 九州大学大学院医学研究院皮膚科学2))
S3-2.乳幼児アトピー性皮膚炎と食物アレルギー
内 博史
九州大学医学部皮膚科
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日本皮膚科学会によるアトピー性皮膚炎治療ガイドラインによれば,アトピー性皮膚炎は増悪・寛解を繰り返す,そう痒のある湿疹を主病変とする疾患であり,患者の多くはアトピー素因を持つ,と定義される.
また同ガイドラインによるアトピー性皮膚炎の診断基準は,1.そう痒,2.特徴的皮疹と分布,3.慢性・反復的経過とされ,診断の参考項目として,家族歴(気管支喘息,アレルギー性鼻炎・結膜炎,アトピー性皮膚炎),合併症(気管支喘息,アレルギー性鼻炎・結膜炎),毛孔一致性丘疹による鳥肌様皮膚,血清IgE値の上昇が挙げられている.
一方,特に乳幼児期のアトピー性皮膚炎患者には食物アレルギーが比較的高率に合併することが知られている.
2005年に発表された食物アレルギーの診療の手引きでは,臨床型分類として,蕁麻疹・アナフィラキシーなどの即時型症状と並んで,食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎が挙げられ,また食物アレルギーにより引き起こされる皮膚症状として,そう痒,蕁麻疹と共に湿疹が挙げられている.
我々は2001年から沖縄県石垣島において,5歳以下の幼稚園児,保育園児を対象に,アトピー性皮膚炎の検診を行い有症率について報告してきた.
さらに2004年から検診とともにアンケートを行い,食物アレルギーを含めて,アトピー性皮膚炎の発症に関与する因子についても検討を行っており,そのデータを中心に報告する.
第57回日本アレルギー学会秋季学術大会 2007年10月開催