即時型・遅発型・遅延型と遅発性の違い | 化学物質過敏症 runのブログ

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・シンポジウム9
食物アレルギーの現状と対策
座長:池澤善郎1),宇理須厚雄2)(1)横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科学,2)藤田保健衛生大学坂文種報徳会病院小児科)

1.食物アレルギーの病態;クラス1とクラス2の違い,即時型・遅発型・遅延型と遅発性の違いについて

猪又直子,池澤善郎
横浜市立大学大学院 環境免疫病態皮膚科学


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 食物アレルギーの頻度は,米国など海外でも増加傾向という現状にあるが,ここ数年,アレルゲン解析における研究は分子レベルにもおよび目を見張る成果を得ており,昨年5月には欧文誌“Journal of Allergy and Clinical Immunology”でも食物アレルギーの総説は更新された.

IgEを介する食物アレルギーは,従来から知られる牛乳,卵白,大豆,米,小麦などを代表抗原とする,

消化,吸収後に生じる疾患であったが,現在はこれをクラス1食物アレルギーと呼び,これと対照的な存在として,口腔アレルギー症候群(OAS)がクラス2食物アレルギーと提唱された.

両者とも抗原がIgEを架橋するという,抗原抗体反応こそが主たる反応であるが,その背景となる“抗原の侵入→感作の成立→抗原による症状誘発”は,抗原の性質や抗原の侵入ルートによって決定され,これらの差異でクラス1とクラス2に区別される.

クラス1食物アレルギーでは感作能と誘発能の両者を保持しているタンパクが抗原となり感作抗原と誘発抗原は同一であるが,クラス2食物アレルギーでは食物抗原は消化酵素によって変性・失活するため感作能は有さず,花粉やラテックスのような他の抗原による感作ののち交差反応性により誘発能のみ発揮するという特徴があり,これらのOASはpollen-food allergy syndromeやlatex-fruit syndromeと呼ばれる.この交差反応性の生物由来アレルゲンは,生体防御タンパク(pathogenesis-related protein)やprofilinに代表される生物に広く保持されたタンパク群であることが判明した.

アレルゲンの解析技術であるアミノ酸解析,3次元的構造解析により,クラス2アレルゲンはconformational epitopeであるが故に失活しやすいことが容易にわかるようになり,さらにはcDNAの同定によってリコンビナントタンパク作成も進行中で,近い将来にはクラス2食物アレルゲンも簡便に検査できるようになるかもしれない.

また,IgEを介する食物アレルギーは,摂取後数分~2時間には発症し,即時型アレルギーとも称されるが,この機序を介するにもかかわらず摂取後約半日後に発症する例外として納豆アレルギーを我々は報告した.

日本の伝統食品である納豆が遅発性の発症をとり,アナフィラキシーにいたる危険性があるので,納豆アレルギーへの臨床上の対策についても触れる.

第17回日本アレルギー学会春季臨床大会 2005年6月開催