食物アレルギー | 化学物質過敏症 runのブログ

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・シンポジウム14
アナフィラキシー
司会者:松永佳世子1),田所憲治2)(藤田保健衛生大学皮膚科1),東京都西赤十字血液センター2))

3.食物アレルギー

今井孝成,飯倉洋治
昭和大学医学部小児科


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 食物アレルギーはアナフィラキシー症状で救急外来を受診する主要な原因の一つである.

欧米ではピーナツによるアナフィラキシー死亡例が数多く報告され,本邦においてもソバのアナフィラキシー死亡例の報告がある.

しかし実際本邦においてどれほどの食物アレルギーアナフィラキシーが見られ,どういった抗原が多いのかなど疫学的データは皆無に等しかった.

厚生労働省はこういった現状を踏まえ,食物摂取後60分以内に何らかの症状が出現し,かつ医療機関を受診したものを対象に食物アレルギー即時型反応の全国疫学調査を行った.

平成10・11年度は小児科を標榜し100床以上のベッドを有する全国2689施設,平成13・14年度は日本アレルギー学会認定医・専門医・指導医,日本小児アレルギー学会会員約2000名を調査協力者とし調査を行った.

幸い死亡例の報告は見られないが,平成10・11年度の調査で外来処置においてエピネフリン投与を要したものは6.9%(98/1420)存在した.

平成13年度調査ではアナフィラキシー症状を呈したものは11.1%(268/2421)存在し,年齢別に見ると加齢とともに増加する傾向がみられた.

抗原別には小麦・乳製品に多い傾向が見られ,欧米に多いピーナツや木の実類のショック例は決して多くなかった.

こうした地域による原因頻度の差は推測の域はでないが,食生活スタイルや人種間の相違も一因となっているものと考えられる.

これ以外にも本調査より食物アレルギーアナフィラキシーの現状を紹介し,今後の臨床・研究に寄与することを期待する.

また抗アナフィラキシー治療の第1選択はエピネフリンであり,症状出現後速やかに投与するのが肝要である.

欧米ではエピペンRが広く利用されているが本邦においては未だ適応を認められてなく,今後の早期適応を期待したい.

第15回日本アレルギー学会春季臨床大会 2003年5月開催


runより:現在はエピペンは認められています。